【TOB】テクノプロ(ブラックストーン系TX1)によるプロジェクトホールディングス(9246)の非公開化(2026/09/28発表)

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最終更新日:2026/10/31 | ステータス:TOB実施中(2026/9/29〜11/11、30営業日)。成立は未確定。JFTC・外為法の手続は完了
※「試算」は筆者計算、「所感」は筆者分析。会社開示・報道で確認できない事項は「非開示」「未確認」と明記。

1. 案件サマリー

一言で:ブラックストーン傘下のテクノプロ・ホールディングスが、新設の買収目的会社TX1を通じて、BPR・PMOコンサルのプロジェクトホールディングス(東証グロース)を1株2,200円のTOBで完全子会社化する。前営業日終値比のプレミアムは+98.20%。SBIホールディングス、土井CEO、DYファンド1号の3者が合計59.27%の応募に合意済み。

項目 内容
発表日 2026年9月28日(月)18:00
対象会社 株式会社プロジェクトホールディングス(東証グロース 9246)
買付者 TX1株式会社(テクノプロ・ホールディングスの100%子会社。テクノプロ・ホールディングスはブラックストーンが運用するファンドの傘下)
スキーム TOB → 株式併合によるスクイーズアウト(臨時株主総会は2027年1月中旬予定)
価格 普通株式 2,200円/新株予約権(第1〜7回)各1円
プレミアム 9/25終値1,110円比 +98.20%、1ヶ月平均 +98.38%、3ヶ月平均 +105.80%、6ヶ月平均 +109.72%
取引規模 買付代金 12,030,832,050円(買付予定数ベース、公開買付者開示)。株式価値 約119.8億円(2,200円×発行済株式数から自己株式を除いた5,446,109株、試算)
下限/上限 下限3,554,400株(所有割合62.43%)。上限なし
ステータス TOB期間中(11/11満了予定、決済11/18)。10/31時点で結果は未公表
業種 サービス業/コンサルティング(BPR・PMO・DX支援)
タグ TOB、完全子会社化、非公開化、戦略的買収、PEファンド傘下事業会社、ブラックストーン、テクノプロ、SBIホールディングス、応募契約、株主優待廃止、グロース市場、コンサルティング

2. 当事者概要

2.1 対象会社:プロジェクトホールディングス

  • 代表取締役CEO 土井悠之介、CFO 松村諒。事業子会社は株式会社プロジェクトカンパニー(持株会社自体の旧商号もプロジェクトカンパニー)。
  • BPR(業務改革)、PMO(プロジェクト管理支援)、DX支援などのコンサルティングを手掛ける。
  • 所有割合の分母は5,693,559株(8/31時点の発行済株式数5,487,450株−自己株式41,341株=5,446,109株に、新株予約権の目的となる株式247,450株を加算)。BBT(株式給付信託)が保有する137,043株は自己株式に含めていない。
  • 2023/11/15にSBIホールディングスと資本業務提携を締結。
連結業績(百万円) 2024/12期 2025/12期 2026/12期 中間期 2026/12期 予想(9/28修正後)
売上高 5,279 5,485 3,180(前年同期比+20.0%) 6,600(修正なし)
営業利益 △187 155 77 500(修正なし)
経常利益 △229 144 78 490(修正なし)
親会社株主に帰属する当期純利益 △393 126 22 150(修正前340)
EPS(円) △72.59 23.73 4.18 28.18(修正前63.87)

2025/12末の財政状態は、総資産4,632百万円、純資産2,260百万円、自己資本比率48.6%、1株当たり純資産422.91円、現金及び現金同等物2,095百万円。2026/6末は総資産4,413百万円、純資産2,289百万円。9/28の予想修正は、本取引関連費用など約270百万円の特別損失(アドバイザリー費用等、270百万円程度)によるもの。配当予想は無配。

2.2 買付者

  • TX1株式会社(東京都港区六本木6-10-1、代表取締役 嶋岡学、2026/9/3設立、資本金1円)。
  • 資本関係:テクノプロ・ホールディングスが100%を保有。その上にビー・エックス・ジェイ・イー・ワン・ホールディングがあり、ブラックストーンのファンドが保有する。いずれも対象会社の株式・新株予約権を保有していない。
  • テクノプロ・グループは技術者約30,000名を擁する(意見表明リリース)。

2.3 応募契約(合計3,374,300株・59.27%)

応募予定株主 株数 所有割合
SBIホールディングス 1,631,300 28.65%
土井悠之介(代表取締役CEO) 883,000 15.51%
DY投資事業有限責任組合1号 860,000 15.10%
  • 土井氏の保有株のうち530,000株(9.31%)はみずほ銀行に担保提供されているが、2026/9/29中に担保を解除してから応募する予定。
  • 各応募契約には、応募株式の処分禁止、競合取引の勧誘禁止、株主権行使の制限などが定められている。応募の対価を除き、応募株主に付与される利益はないとされる。
  • SBIホールディングスとは別途、業務提携契約を締結した(TX1・対象会社・SBIの3者)。取引後もプロジェクトカンパニーとSBIの業務提携と既存の取引は継続するが、資本関係は決済で解消される。

3. 取引スキーム

  1. TX1がTOBを実施(2026/9/29〜11/11)。株式は譲渡制限付株式と新株予約権の行使で交付される株式を含め、自己株式(BBT保有分を除く)を除いた全部が対象。新株予約権(第1〜7回)も全部が対象。
  2. 成立後に株式併合を行い、TX1のみを株主とする。臨時株主総会は2027年1月中旬の予定。
  3. 上場廃止。

下限3,554,400株の算定根拠:本基準株式数5,693,559株から、BBT所有株式137,043株と、2027年1月中旬までに行使期間が到来しない第5〜7回新株予約権の目的となる株式225,000株を控除すると5,331,516株(53,315個)。その3分の2にあたる35,544個に単元100株を掛けた数。所有割合62.43%、株券等所有割合65.17%。

4. 価格・プレミアム分析

基準(9/25=公表日の前営業日) 株価(円) プレミアム 類似事例の中央値(120件)
終値 1,110 +98.20% 43.13%
1ヶ月平均 1,109 +98.38% 42.74%
3ヶ月平均 1,069 +105.80% 43.10%
6ヶ月平均 1,049 +109.72% 44.64%

比較対象は、2019/6/28〜2026/8/31に公表・成立した非公開化目的の他社株TOB 120件(MBO、親会社による子会社化、買付者がTOB前から株式を保有していた事例、リーク報道があった事例などを除く)。公開買付者のリリースは公表日(9/28)の終値1,142円に対するプレミアム+92.64%も示している。

4.1 バリュエーション指標(試算)

指標 数値(試算)
PBR(2025/12末BPS 422.91円) 5.20倍
PER(2025/12期EPS 23.73円) 92.7倍
PER(修正後予想EPS 28.18円) 78.1倍

5. 株式価値算定(トラスティーズ・アドバイザリー、対象会社依頼、9/25付、FOなし)

手法 レンジ(円)
市場株価法 1,049〜1,110
類似公開会社比準法 942〜1,332
DCF法 1,913〜2,496

2,200円は市場株価法と類似公開会社比準法の上限を上回り、DCF法レンジの中央値近傍にある。トラスティーズの報酬は固定報酬のみで、成功報酬は含まない。公開買付者も第三者算定書とFOを取得していない。

6. 交渉経緯・タイムライン

日付 出来事
2026/6/18 金融機関の紹介を受け、テクノプロ・ホールディングスが土井氏と秘密保持契約を締結して面談
2026/7/2 CFOとの面談
2026/7/16 法的拘束力のない初期的意向表明書を提出
2026/7/21 特別委員会を設置し、意向表明書に回答
2026/7/24 9月末までの独占交渉を承認。7月下旬〜8月中旬にDDを実施
2026/8/26 第1回価格提案 2,050円(8/25終値1,078円比 +90.17%)
2026/9/1 対象会社が引上げを要請
2026/9/7 2,150円(9/4終値1,127円比 +90.77%)
2026/9/8 株主優待廃止による影響とシナジーを理由に再度要請
2026/9/15 2,200円を最終提案(9/14終値1,100円比 +100.00%)
2026/9/17 対象会社が再度引上げを要請
2026/9/24 テクノプロが引上げを拒否し、2,200円が最大限であると回答(9/18終値1,120円比 +96.43%)
2026/9/25 特別委員会が答申。対象会社が2,200円に内諾
2026/9/28 取締役会が賛同・応募推奨を決議し公表。新株予約権の応募は保有者の判断に委ねる
2026/10/2 公正取引委員会の10/1付「排除措置命令を行わない旨の通知書」「禁止期間の短縮の通知書」を受領。10/6に訂正届出書を提出し、開始リリースを変更
2026/10/5 外為法の待機期間が短縮され、10/6から取得可能に。10/9に訂正届出書を提出し、開始リリースを変更
2026/11/11 TOB期間満了(予定)

第1回提案からの引上げ幅は+150円(+7.3%、試算)。

7. 公正性担保措置

  • 特別委員会:柳沢和正氏、桃崎有治氏(公認会計士)、川添丈氏(弁護士)の3名。いずれも独立社外取締役(監査等委員を含む)。特別委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合、取締役会は賛同しないことが決議されている。答申は9/25付で全員一致。
  • 対象会社のアドバイザー:FAはSBI証券。応募株主SBIホールディングスのグループ会社で、報酬にはマイルストーン型の固定報酬が含まれるが、利益相反は管理されているとする。リーガルはT&K法律事務所、算定はトラスティーズ・アドバイザリー。
  • 公開買付者のアドバイザー:FAはみずほ証券(公開買付代理人を兼ね、楽天証券が復代理人)、リーガルはアンダーソン・毛利・友常法律事務所。
  • MoM条件は設定していない。応募契約で59.27%がすでに確保されており、MoMを設定すると成立が不安定になるため。
  • 取引保護条項はない。TOB期間は30営業日で、法定最短の20営業日より長い。

8. シナジー・ディスシナジー

  • テクノプロ・グループの顧客基盤を通じた新規顧客の獲得と、PMO案件の拡大。
  • 技術者約30,000名からのリファラル採用などによるコンサルタントの増員。
  • プロジェクトのBPR・PMOと、テクノプロのDX・エンジニアリングサービスとの補完。
  • デメリット:エクイティ・ファイナンスによる資金調達ができなくなり、上場会社としての信用・知名度を失う。テクノプロ・グループの信用力と資金力で補えるため、影響は限定的とされる。

9. 資金調達・取引総額

  • テクノプロ・ホールディングスがTX1に最大12,110,000千円を出資。TOBの成立のみを前提条件とする。出資に足る預金残高があることを確認済み。
  • 買付代金12,030,832,050円、買付手数料65,000,000円、その他7,400,000円の合計12,103,232,050円(概算)。
  • 株式価値:2,200円×5,446,109株≈119.8億円。本基準株式数5,693,559株ベースでは約125.3億円(いずれも試算)。

10. 少数株主への影響

  • 応募契約の対象外となる少数株主は約40.7%(試算)。
  • 株主優待制度は、TOBの成立を条件として、2026/3/31基準日分を最後に廃止する。付与済みポイントは11/24〜12/31に交換可能。配当は無配。
  • 新株予約権の買付価格は1円。行使条件を満たさず行使できないことが理由。応募するかどうかは保有者の判断に委ねられている。

11. スケジュール

項目 日程
公表 2026/9/28
TOB期間 2026/9/29〜11/11(30営業日)
決済開始日 2026/11/18
臨時株主総会 2027年1月中旬(予定)
上場廃止 未定(株式併合の手続後)

12. 所感・論点(筆者分析)

以下は開示内容ではなく筆者の見解。

  • 約2倍のプレミアム:前日終値比+98%は、類似事例の中央値(約43%)を大きく上回る。DCFの中央値近傍で決着しており、市場株価がDCF価値を下回っていたことを示す例。
  • PE傘下の事業会社によるボルトオン型買収:ブラックストーンが2025年に非公開化したテクノプロを、プラットフォームとして同業を買収する構図(テクノプロの非公開化時期は本稿の出典外)。
  • FAとSBIの関係:対象会社のFAであるSBI証券は、筆頭株主で応募株主でもあるSBIホールディングスのグループ会社。報酬に固定のマイルストーン報酬が含まれる点も含め、FAの独立性には議論の余地がある。算定機関を固定報酬のトラスティーズにした点はその補完と読める。
  • MoMなし:応募契約で6割近くが確保されているため、MoMを設定しない理由は形式的には成り立つ。

13. 未確認事項

  • DY投資事業有限責任組合1号の無限責任組合員と、土井氏との関係(意見表明リリースでは未精査)。
  • TOBの結果(11/12公表予定)と応募数。
  • 株式併合の比率、臨時株主総会の日付、上場廃止日。
  • テクノプロ・ホールディングスがブラックストーン傘下に入った経緯と時期(本件の開示書類外)。

14. 出典

※TDnetのURLは約1ヶ月で掲載終了。上記はJPXアーカイブ(www2.jpx.co.jp/disc/)のURL。以後はEDINET・各社IRサイトも参照。

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