日立製作所|企業ウォッチ

最終更新日:2026/11/02 | 日立製作所(6501) | 決算期:3月(IFRS)。FY3/27=2026年度
※本ページは会社開示(決算短信・説明資料)と報道に基づく。「試算」は筆者計算、「筆者分析」は筆者の見方であり開示内容ではない。金額単位は億円(百万円を億円に換算・四捨五入)。

サマリー

事業概要:4セグメントで構成。デジタルシステム&サービス(DSS:Lumada/国内SI/GlobalLogic)、エナジー(送配電・HVDC・原子力)、モビリティ(鉄道)、コネクティブインダストリーズ(CI:産業機器・ビル・家電・計測)。上場子会社の売却は最終段階で、日立建機の持株比率は25.4→18.4%、Astemoは40→19%に下がった。

主要指標

項目 値 備考
売上収益 FY2025実績 105,867(+8%) 2026/4/27
Adj.EBITA FY2025実績 13,114(12.4%)
当期利益 FY2025実績 8,023
FY2026会社予想(10/28修正後) 売上 120,000/Adj.EBITA 15,600(13.0%)/当期利益 9,200/EPS 206.41円 期初 111,000/14,200/8,500 から2回上方修正
株価 5,094円(2026/10/30終値)。1カ月 △7.2%、3カ月 +4.2%、1年 +7.5%、52週レンジ 4,429–5,840円(試算、Yahoo Finance終値ベース)
時価総額 約22.7兆円(試算) 株価5,094円 × 想定株式数約44.6億株(当期利益予想 ÷ EPS予想で逆算)
PER(予) 約24.7倍(試算) 5,094円 ÷ EPS予想206.41円
EV/EBITDA 未確認 信頼できる公表値が見つからず、自前でも計算していない

投資テーマと論点

  • テーマ:送配電・HVDCの受注サイクル(エナジーのQ1受注は+87%)と、Lumada/AIによるDSSの生産性改善で、Inspire 2027のマージン目標を達成できるか。
  • 論点①エナジーの受注残が膨らむなか、利益率をどこまで伸ばせるか(Q2は15.2%で+260bps)。
  • 論点②DSSは国内の一過性案件コストでQ2の利益率が△40bpsとなった。再発するかどうか。
  • 論点③上方修正が続いているのに、市場はコンセンサスとの差で売り買いしている(Q2の翌日は△9.8%)。

直近の要点:Q2(10/28)は売上が+15%、Adj.EBITAが+518億円で、通期予想を再び上方修正した(Adj.EBITA 15,200→15,600)。ただしQ2のAdj.EBITAは市場予想を100億円超下回ったと報じられた。上方修正の幅もコンセンサスに届かず、高値圏での出尽くし売りと重なって翌日は△9.8%(対TOPIX △10.1pt)。筆者分析:ファンダメンタルズは上方修正の局面が続いている。株価は期待値が高く、そこからの調整という位置づけ。

目次

イベント(過去12カ月)

日付 イベント インプリケーション 株価反応(翌営業日、試算)
2026/1/29 Q3決算。通期を上方修正し、1,000億円の追加自社株買い(1/30–4/30)を発表 還元の上積みと上方修正が同時 +5.6%(対TOPIX +4.9pt)
2026/4/27 FY2025決算とFY2026期初予想 当期利益予想がコンセンサスを下回った(Reuters) △5.8%(対TOPIX △6.8pt)
2026/7/29 Q1決算。通期を上方修正(Adj.EBITA 14,200→15,200) エナジーの受注+87% +6.0%(対TOPIX +6.5pt)
2026/10/28 Q2決算。通期を再び上方修正し、中間配当を28→32円に サプライズに乏しく出尽くし △9.8%(対TOPIX △10.1pt)
2026/11/2 Hitachi Energy Investor Day(英国時間11/3)の資料を公開。上期売上110億ドル(+20%)・Adj.EBITA率15.4%、FY2026見通し売上236億ドル・同15.7%。FY2030に売上約380億ドル(FY2025比CAGR約16%)、受注残約1,000億ドル(同約25%)のAmbition エナジーの成長の持続性を長期で示した。日立本体の評価軸として重要(筆者分析) 11/4終値で計測予定(11/3は祝日)
2025年度中(日付未確認) 日立建機(25.4→18.4%)・Astemo(40→19%)の持株を売却 非中核事業の整理が最終段階 —

四半期決算(新しい順)

2026年度Q2(2026/7–9月、発表2026/10/28)

項目 Q2実績 前年比 上期累計
売上収益 29,044 +15%(為替除き+10%) 56,140(+17%)
Adj.EBITA 3,761(12.9%) +518億円/+10bps 6,996(+1,378)
当期利益 2,271 △534億円 4,166(△11.9%)
コアFCF 1,665 △336 —

セグメント(Q2:受注/売上/Adj.EBITA率)

セグメント 受注 売上 利益率
DSS 8,150(+14%) 8,141(+10%) 15.5%(△40bps。国内一過性案件コスト△90億円。これを除くと+80bps)
エナジー 15,662(+47%) 9,604(+28%) 15.2%(+260bps)
モビリティ 4,041(+69%) 3,485(+16%) 7.3%
CI 10,076(+26%) 8,255(+9%) 11.5%(△60bps)

ガイダンス

売上 117,000→120,000、Adj.EBITA 15,200→15,600(13.0%)、当期利益 9,000→9,200(EPS 206.41円)。コアFCF 9,200、ROIC 13.5%。修正の内訳:エナジーはEBITA +330億円(売上は据え置き)、DSSは売上+700億円、CIは売上+500億円・EBITA+50億円。中間配当は28→32円。総還元8,140億円のうち自社株買いの進捗は52%。

Q&A要点

  • 利益率の改善は、ERPやAIによる生産性向上と大型案件の管理によるもの(TECH+報道)。

筆者分析

エナジーの受注+47%とマージン+260bpsは、送配電サイクルの強さを裏づける。DSSの一過性コストを除けば実質は増益率が加速している。それでも純利益は前年比で減っており(前年は売却益あり)、株価が下がったのはヘッドラインとコンセンサスとの差によるものとみる。

株価反応

項目 値
前日終値(発表前日) 5,615円
発表日終値 5,620円
翌営業日終値(2026/10/29) 5,071円
騰落率(発表日終値→翌営業日、試算) △9.8%
TOPIX代替(1306.T)同期間 +0.3%
対TOPIX相対(試算) △10.1pt

報道:終値5,071円(△549円)。Q2のAdj.EBITAが市場予想を100億円超下回り、上方修正の幅もコンセンサスに届かなかったとされる(ザイ・オンライン、Investing.com)。

2026年度Q1(2026/4–6月、発表2026/7/29)

項目 Q1実績 前年比
売上収益 27,095 +20%(為替除き+12%)
Adj.EBITA 3,235(11.9%) +860億円/+140bps
当期利益 1,894 △27億円
コアFCF 3,650 —
セグメント 受注 売上 利益率
DSS 10,070(+7%) 7,190(+11%) 11.9%
エナジー 19,063(+87%) 9,119(+37%) 14.2%
モビリティ — 3,444 8.8%
CI — 7,610 11.0%

ガイダンス:売上 111,000→117,000、Adj.EBITA 14,200→15,200、当期利益 8,500→9,000に上方修正。中東情勢の影響は売上△160億円、EBITA△70億円。

Q&A要点:中東の影響は期初に織り込んだリスクの範囲内という説明(説明資料ベース。詳細なQ&Aは未確認)。

筆者分析:エナジーの受注が倍近くに伸び、期初予想の保守性がすぐに解消された。Adj.EBITAは期初から+1,000億円。

株価反応

項目 値
前日終値(発表前日) 4,890円
発表日終値 4,957円
翌営業日終値(2026/07/30) 5,255円
騰落率(発表日終値→翌営業日、試算) +6.0%
TOPIX代替(1306.T)同期間 △0.5%
対TOPIX相対(試算) +6.5pt

発表日終値4,957円(日経報道と一致)。

2025年度通期(発表2026/4/27)

項目 FY2025実績 前年比
売上収益 105,867 +8%
Adj.EBITA 13,114(12.4%) +2,279億円
当期利益 8,023 +1,866億円
コアFCF 11,702 —
ROIC 12.4% —
セグメント 売上 Adj.EBITA
DSS 29,400 4,500
エナジー 32,199 4,160
モビリティ 13,215 1,081
CI 32,627 3,673

FY2026期初予想:売上 111,000/Adj.EBITA 14,200(12.8%)/当期利益 8,500/コアFCF 8,500。中東リスク(売上△400億円・EBITA△200億円)とコーポレートの戦略投資(約+300億円)を織り込んでいる。

Q&A要点:FY2026は、Inspire 2027(FY2027目標)を確実にするための年という位置づけ。

筆者分析:期初予想は保守的で、その後2回の上方修正につながった。

株価反応

項目 値
前日終値(発表前日) 5,229円
発表日終値 5,356円
翌営業日終値(2026/04/28) 5,047円
騰落率(発表日終値→翌営業日、試算) △5.8%
TOPIX代替(1306.T)同期間 +1.0%
対TOPIX相対(試算) △6.8pt

Reutersは、当期利益予想がコンセンサスを下回り、日中に6%超安の4,992円まで下げたと報じた。

2025年度Q3(2025/10–12月、発表2026/1/29)

項目 Q3実績 前年比
売上収益 27,143 +10%
Adj.EBITA 3,462(12.8%) +644億円
当期利益 1,656 +271億円
コアFCF 2,891 —

ガイダンス:売上 105,000、Adj.EBITA 12,100→12,600、当期利益 7,600に上方修正。1,000億円の追加自社株買いも発表。

Q&A要点:ストレージ事業の収益性と、メモリ価格の上昇が与える影響。

筆者分析:上方修正と還元の上積みが同時に出たことが好感された。

株価反応

項目 値
前日終値(発表前日) 5,087円
発表日終値 5,077円
翌営業日終値(2026/01/30) 5,361円
騰落率(発表日終値→翌営業日、試算) +5.6%
TOPIX代替(1306.T)同期間 +0.7%
対TOPIX相対(試算) +4.9pt

株価データ:Yahoo Finance チャートAPI(6501.T/1306.T)の日次終値を筆者がダウンロードし試算(sources/yf_6501.json, yf_1306.json, sources/reactions_company.json)。TOPIXは指数の日次データを取得できなかったため、TOPIX連動ETF(1306.T)の騰落率で代替(試算・近似)。決算発表は大引け後のため、初期反応は「発表日終値→翌営業日終値」で計測。

未確認事項

  • EV/EBITDAの公表値
  • Q2・Q1 Q&Aの全文(Q2は報道ベース)
  • 日立建機・Astemoの持株売却の正確な実行日
  • Q2時点のコンセンサス数値(報道は「100億円超」とのみ)
  • 時価総額は自己株式を控除した正確な株式数での確認
  • 日立の億円表示は会社説明資料の表記(億円未満切捨て)に準拠しており、百万円からの四捨五入値と1億円ずれる場合がある(例:Q2当期利益 2,271=227,171百万円)

出典

最終更新日:2026/11/02