シンプレクス・ホールディングス|企業ウォッチ

最終更新日:2026/10/31 | シンプレクス・ホールディングス(東証 4373) | 決算期:3月期(IFRS)
※本ページは会社開示(決算短信・説明資料・質疑応答)と報道に基づく。「試算」は筆者計算、「インプリケーション(筆者分析)」は筆者の見方であり開示内容ではない。金額は特記なき限り億円(百万円を億円換算、四捨五入)。

サマリー

金融機関向けのトレーディング・リスク管理システムを起点に、戦略/DXコンサルティング(Xspear Consulting等)、システムインテグレーション、運用サービスを一気通貫で提供する独立系DX企業。2026年3月期は売上収益587億円(+23.8%)・営業利益144億円(+33.5%)で過去最高(決算短信)。4/30に「中計2030 -Vision1000-」(2030年3月期に売上1,000億円・営業利益250〜300億円)を策定。10/28の2Q決算は上期売上331億円(+19.1%)・営業利益74億円(+4.8%)で、通期予想を売上710億円・営業利益175億円へ上方修正したが、生成AI関連の研究開発費急増による利益率低下が嫌気され翌日株価は△7.1%(対TOPIX △7.5pt、試算)。

目次

事業概要・セグメント

売上はサービス形態別に3区分(単一セグメント)。2027年3月期上期(億円、売上総利益率)。

サービス形態 主な内容 上期売上(前年同期) 売上総利益率(前年同期) 構成比
戦略/DXコンサルティング DX戦略立案・事業開発支援(Xspear Consulting等) 61.3(48.4) 49.6%(46.8%) 18.5%
システムインテグレーション 金融機関・事業会社向けシステム構築(トレーディング、ステーブルコイン基盤等) 195.2(161.4) 47.0%(44.5%) 58.9%
運用サービス 構築後の保守・運用 74.3(68.2) 42.5%(40.1%) 22.4%
合計 331.2(278.0) 46.5%(43.9%) 100%

出典:2Q FY3/27決算短信。中計2030(2027年3月期〜2030年3月期)の目標は2030年3月期に売上収益1,000億円、営業利益250〜300億円、営業利益率25〜30%、ROE25〜30%(M&A寄与含まず、中計2030)。

主要指標

項目 値 出典・注記
FY3/26 実績 売上収益 586.8億円(+23.8%)/営業利益 144.2億円(+33.5%、利益率24.6%)/税引前 143.5億円/親会社帰属利益 105.4億円(+35.4%)、EPS 46.42円(分割後)、配当18円(配当性向38.8%)、ROE 21.0% 決算短信・中計2030
FY3/27 会社予想(10/28修正) 売上収益 710億円(期初700、+21.0%)/営業利益 175億円(期初172、+21.4%)/税引前 172.3億円(期初169.4)/親会社帰属利益 124.2億円(据置、+17.9%)、EPS 55.08円、配当24円(期末一括、据置) 業績予想修正
上期進捗(FY3/27) 売上収益 331.2億円(+19.1%)/営業利益 74.0億円(+4.8%)。期初上期予想(売上332/営業益73.5億円)に対し売上△0.2%・営業益+0.6%(試算)。通期営業益予想に対する進捗42.3%(試算) 2Q短信・1Q短信(上期予想)
財務(2026/9末) 資産合計 854.7億円、親会社所有者帰属持分 524.5億円(比率61.4%)、BPS 233.58円 2Q短信
株価(2026/10/30終値) 1,166円。1カ月 +5.2%、3カ月 +0.3%、1年 +14.6%、52週レンジ(終値)764–1,282円(試算、分割調整後) Yahoo Finance(sources/yf_4373.T.json)
時価総額(試算) 約2,618億円(1,166円×期末発行済株式数237,908,300株−自己株式13,351,476株) 株価×2Q短信の株式数(試算)
PER(会社予想)/PBR/配当利回り(試算) 21.2倍(EPS 55.08円)/4.99倍(BPS 233.58円)/2.06%(配当24円) 筆者試算(会社予想・短信ベース)
EV/EBITDA 未算出(減価償却費・有利子負債を一次資料から未集計。未確認事項参照) —
資本政策 2025/12/1に1:4株式分割。配当性向40%目安。2026/1/29に自己株取得(上限550万株・50億円、1/30〜5/31)を決議し、ToSTNeT-3で380万株を取得、2/20に取得終了を開示。2026/5/18に株主優待制度の導入を発表 自己株取得決議・ToSTNeT-3・適時開示一覧

投資論点・主要な争点

  • 生産能力=売上:会社は「生産能力の向上が売上拡大に直結する事業環境」と説明。エンジニア・コンサルタントの増員と1人当たり売上の上昇で+20%前後の増収が続くかが第一の論点。
  • AI投資と利益率:生成AI前提の開発体制への転換で研究開発費が上期18.8億円(前年5.6億円、+238%)に急増し、上期営業利益率は22.3%(前年25.4%)に低下。中計2030の利益率25〜30%に向け、投資の回収時期が株価のカギ。
  • 金融から非金融へ:SBI・DMM等ネット証券向けの強みに加え、東京金融取引所の次期取引プラットフォーム、ステーブルコイン基盤、ユー・エス・エスの基幹刷新など非金融・新領域の案件が広がるか。
  • 還元とバリュエーション:配当性向40%目安+機動的な自己株買い+株主優待。予想PER約21倍(試算)は国内SI上位並みで、成長率(+20%)を考えると割高ではないが、利益率低下局面では評価が揺れやすい(筆者分析)。

最新の見立て

上期は売上・営業利益とも期初計画どおりで、通期予想も上方修正した。ただし営業利益の伸び(+4.8%)が売上(+19.1%)を大きく下回り、AI関連の研究開発費が下期も続くと会社は明言。純利益は優待費用の損金不算入で上期予想を下回った。株価は好決算期待で高値圏にあったため翌日△7.1%(試算)。下期に必要な営業利益は101億円(175−74.0、試算)で前年下期(73.7億円、試算)比+37%と高いハードルにみえるが、例年下期偏重(前年は下期が通期の51%、試算)であり、増員効果と受注の強さ次第。次の確認点は2027年1月の3Q決算(日付未定)。

イベント(過去12カ月)

日付 イベント インプリケーション(筆者分析) 株価反応(翌営業日、試算)
2025/10/30 FY3/26 2Q決算・通期予想と配当予想の上方修正(増配)、1:4株式分割決議 高成長と増配を同時に示した +5.65%(対TOPIX +4.67pt)
2025/12/1 株式分割(1:4)効力発生 流動性向上 —
2026/1/28 東京金融取引所の次期取引プラットフォーム開発を開示 取引所系の大型案件で金融インフラ領域の実績 未計測
2026/1/29 3Q決算・通期上方修正(売上580億円・営業益143億円)・自己株取得(上限550万株・50億円) 上方修正と還元の組み合わせ +1.37%(対TOPIX +0.70pt)
2026/1/30 ToSTNeT-3で自己株380万株を取得(2/20に取得終了) — —
2026/3/4 SBI証券の資産管理アプリ「SBI証券Plus」構築を開示 主要顧客SBIとの関係継続 未計測
2026/4/30 FY3/26決算(過去最高)・FY3/27予想(営業益172億円)・中計2030 -Vision1000- 策定 売上1,000億円の達成時期を2030年3月期に明確化 +4.78%(対TOPIX +4.65pt)
2026/5/18 株主優待制度の導入を発表 個人株主層の拡大策。ただし費用が損金不算入で純利益を下押し(10/28開示) +9.28%(対TOPIX +8.69pt)
2026/5/29 業績条件付有償ストックオプションの発行決議 — 未計測
2026/6/20 第10回定時株主総会 役員異動の詳細は未確認 —
2026/7/27 1Q決算(売上+19.8%、営業益+6.6%) 増収だがR&D急増で利益率低下。市場全体安の中で底堅い △0.17%(対TOPIX +2.51pt)
2026/10/28 2Q決算・通期上方修正(売上710億円・営業益175億円、純利益据置) 利益率低下と純利益の未達で失望売り △7.14%(対TOPIX △7.45pt)
2027/1(日付未定) FY3/27 3Q決算(予定) — —

四半期決算(新しい順)

2027年3月期 2Q(7–9月)

発表:2026/10/28 15:30(大引け後)。同日に通期予想を修正(修正開示)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 2Q単体(試算) 前年同期(試算) 前年比(試算) 上期累計(前年比)
売上収益 169.9 143.4 +18.5% 331.2(+19.1%)
営業利益 39.7 38.4 +3.3% 74.0(+4.8%)
営業利益率 23.4% 26.8% △3.4pt 22.3%(前年25.4%)
親会社帰属利益 25.6 26.2 △2.2% 48.1(+0.7%)

計画比(試算):期初上期予想(売上332.0/営業益73.5/純利益49.8億円)に対し、売上△0.2%、営業益+0.6%、純利益△3.4%。上期は売上総利益154.1億円(+26.4%、粗利率46.5%)、販管費60.9億円(+32.8%、採用強化)、研究開発費18.8億円(+238.3%、生成AI前提の開発体制への転換)。サービス形態別:戦略/DXコンサル61.3億円(粗利率49.6%)、SI 195.2億円(47.0%)、運用74.3億円(42.5%)といずれも増収・粗利率改善。

受注・受注残

受注高・受注残は短信に開示なし(未確認)。会社は修正開示で「足元の受注状況が良好」と記載。

業績予想の変更

通期予想を上方修正:売上収益700→710億円(+1.4%)、営業利益172→175億円(+1.7%)、税引前169.4→172.3億円。親会社帰属利益124.2億円は据え置き(上期に株主優待費用の損金不算入で下振れ、下期の増益と相殺)。配当予想24円(期末)は据え置き。いずれも会社予想。

説明会・開示の主なポイント

  • 上期売上・営業利益は四半期・半期とも過去最高、概ね期初予想どおり(会社説明)
  • エンジニア・コンサルタント1人当たり売上収益が上昇
  • 下期もAI利用料を含む研究開発等の成長投資を強化する一方、売上総利益の増加が費用増を上回る見通し
  • 財務CFは△56.9億円(主に配当支払40.3億円)

インプリケーション(筆者分析)

粗利率の改善(+2.6pt)はAI活用・単価上昇の成果とみられるが、それをR&Dと採用費が上回り、営業利益率は2Q単体で△3.4pt(試算)。上方修正の幅は小さく、純利益は据え置きのため、期待が高かった株価には物足りない内容。下期必要営業益101億円(試算)は前年下期比+37%で、R&D継続の中ではハードルが高いとみる(筆者分析)。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,250円(10/27)
発表日終値 1,246円(10/28)
翌営業日終値(10/29) 1,157円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △7.14%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +0.31%
対TOPIX相対(試算) △7.45pt

発表前に52週高値圏(終値1,282円)にあった。

2027年3月期 1Q(4–6月)

発表:2026/7/27 15:30(大引け後)(1Q短信)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 1Q実績 前年同期 前年比
売上収益 161.4 134.6 +19.8%
営業利益 34.3 32.1 +6.6%
営業利益率 21.2% 23.9% △2.7pt
親会社帰属利益 22.5 21.6 +4.2%

売上総利益74.7億円(+26.1%、粗利率46.3%)、販管費32.6億円(+31.5%)、研究開発費8.1億円(前年2.5億円、+228.4%)。サービス形態別:戦略/DXコンサル29.9億円(粗利率49.9%)、SI 94.8億円(46.8%)、運用36.5億円(41.8%)。計画比:上期営業益予想73.5億円に対する進捗46.6%(試算)。

受注・受注残

受注高・受注残は開示なし(未確認)。

業績予想の変更

上期(売上332億円・営業益73.5億円)・通期予想(売上700億円・営業益172億円)とも据え置き(会社予想)。

説明会・開示の主なポイント

  • SI・運用が好調、コンサルも堅調に案件獲得
  • 生成AI活用を前提とした開発体制への転換(ノウハウ標準化・開発基盤高度化)でR&D急増
  • 2026/6末の資産合計814.9億円(配当支払で3月末比減)

インプリケーション(筆者分析)

増収率は約20%を維持し、R&D増は計画内とみられる。利益率低下は織り込み済みで、市場全体が下げた日に株価は対TOPIXで+2.5pt(試算)と底堅かった。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,047円(7/24)
発表日終値 1,146円(7/27)
翌営業日終値(7/28) 1,144円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △0.17%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) △2.69%
対TOPIX相対(試算) +2.51pt

発表当日(大引け前)に+9.5%上昇しており(試算)、発表前の期待先行の可能性。理由は未確認。

2026年3月期 4Q(1–3月)・通期

発表:2026/4/30 15:30(大引け後)。同日に中計2030を公表(短信・中計)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 4Q単体(試算) 前年同期(試算) 前年比(試算) 通期実績(前期比)
売上収益 161.5 132.8 +21.6% 586.8(+23.8%)
営業利益 36.0 38.0 △5.1% 144.2(+33.5%)
親会社帰属利益 32.5 31.0 +4.9% 105.4(+35.4%)

計画比(試算):1/29修正予想(売上580/営業益143/純利益96.7億円)に対し、売上+1.2%、営業益+0.8%、純利益+9.0%。通期:売上総利益256.2億円(粗利率43.7%)、販管費95.9億円(+31.3%)、研究開発費15.7億円(+6.6%)。サービス形態別:戦略/DXコンサル108.2億円(前期75.1、粗利率48.4%)、SI 337.6億円(263.2、43.0%)、運用140.9億円(135.2、41.4%)。

受注・受注残

受注高・受注残は開示なし(未確認)。

業績予想の変更

FY3/27期初予想(会社予想):売上収益700億円(+19.3%)、営業利益172億円(+19.3%)、親会社帰属利益124.2億円(+17.9%)、配当24円(期末、前期18円)。

説明会・開示の主なポイント

  • 売上・利益・利益率いずれも過去最高
  • 中計2030:2030年3月期に売上1,000億円、営業益250〜300億円、ROE25〜30%(M&A除く)
  • 配当性向40%目安、自己株取得は機動的に実施
  • 営業CF 106.9億円、財務CF △116.6億円(自己株取得56.2億円、配当28.5億円)

インプリケーション(筆者分析)

4Q単体は営業減益(試算)だが通期は修正予想を上回って着地。中計2030で1,000億円の時期を明確化し、FY3/27も+19%成長を計画したことが好感された(翌日+4.8%)。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 881円(4/28)
発表日終値 879円(4/30)
翌営業日終値(5/1) 921円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) +4.78%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +0.13%
対TOPIX相対(試算) +4.65pt

4/29は祝日。

2026年3月期 3Q(10–12月)

発表:2026/1/29 15:30(大引け後)。同日に通期上方修正と自己株取得を決議(3Q短信・修正)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 3Q単体(試算) 前年同期(試算) 前年比(試算) 9M累計(前年比)
売上収益 147.3 122.4 +20.3% 425.3(+24.7%)
営業利益 37.6 30.9 +21.6% 108.2(+54.4%)
親会社帰属利益 25.1 20.9 +20.3% 72.9(+55.7%)

9M:粗利率43.7%(前年40.7%)、販管費67.1億円(+19.9%)、研究開発費10.6億円(△13.7%)、営業利益率25.4%。サービス形態別:戦略/DXコンサル76.9億円(粗利率47.3%、前年49.4%)、SI 244.4億円(43.7%)、運用103.9億円(41.0%)。

受注・受注残

受注高・受注残は開示なし(未確認)。

業績予想の変更

通期予想を上方修正:売上収益570→580億円、営業利益140→143億円、親会社帰属利益95.2→96.7億円(会社予想)。配当予想18円は据え置き。

説明会・開示の主なポイント

  • 自己株取得:上限550万株(2.41%)・50億円、期間1/30〜5/31。1/30にToSTNeT-3で380万株を取得
  • 前日(1/28)に東京金融取引所の次期取引プラットフォーム開発を開示

インプリケーション(筆者分析)

9Mで営業益+54%と高成長が続き、上方修正と自己株買いで還元も強化。ただし株価の反応は小幅(+1.4%)で、上方修正は想定内とみられた。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 935円(1/28)
発表日終値 946円(1/29)
翌営業日終値(1/30) 959円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) +1.37%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +0.67%
対TOPIX相対(試算) +0.70pt

株価データ:Yahoo Finance チャートAPI(4373.T/1306.T)の日次終値(分割調整後)を筆者がダウンロードし試算(sources/yf_4373.T.json, sources/yf_1306.T.json)。TOPIXは指数の日次データを取得できなかったため、TOPIX連動ETF(1306.T)の騰落率で代替(試算・近似)。決算発表が大引け後の場合、初期反応は「発表日終値→翌営業日終値」で計測。

未確認事項

  • 四半期の受注高・受注残、人員数(短信に記載なし。説明資料で要確認)
  • EV/EBITDA(減価償却費・有利子負債・リース負債を未集計)
  • 2025/10/30の業績予想修正の修正前後の数値
  • 2/20開示の自己株取得の総取得株数・総額(ToSTNeT-3の380万株以外)
  • 6/20定時株主総会での役員異動(経営体制の変更有無)
  • 株主優待の内容・費用額
  • 7/27(1Q発表当日の大引け前)の株価急騰(+9.5%、試算)の理由
  • FY3/27 3Q決算の発表日(会社IRカレンダーは「2027年01月」とのみ表示)
  • 会社四季報オンラインの予想・数値(別途反映予定)

出典

最終更新日:2026/10/31