最終更新日:2026/10/31 | 電通総研(東証 4812) | 決算期:12月期
※本ページは会社開示(決算短信・説明資料・質疑応答)と報道に基づく。「試算」は筆者計算、「インプリケーション(筆者分析)」は筆者の見方であり開示内容ではない。金額は特記なき限り億円(百万円を億円換算、四捨五入)。
サマリー
電通グループ傘下のSIer(旧ISID)。金融・ビジネス(会計・人事)・製造(PLM/ALM、CAE)・コミュニケーションIT(電通グループ向け等)の4セグメント。2025年12月期は売上1,649億円・営業利益229億円で過去最高。最大の論点は伊藤忠系の合同会社VICによる1株2,880円のTOB(期間2026/11/2–12/2、会社は賛同・応募推奨)。TOBと株式併合を経て上場廃止の予定で、株価(10/30終値2,869円)はTOB価格に張り付いている。10/30の3Q決算は累計+10.4%増収・+9.9%営業増益、通期予想据え置き。
目次
- サマリー
- 事業概要・セグメント
- 主要指標
- 投資論点・主要な争点
- 最新の見立て
- イベント(過去12カ月)
- 四半期決算(新しい順)
- └ 2026年12月期 3Q(7–9月)
- └ 2026年12月期 2Q(4–6月)
- └ 2026年12月期 1Q(1–3月)
- └ 2025年12月期 4Q(10–12月)・通期
- 未確認事項
- 出典
事業概要・セグメント
| セグメント | 主な事業 | 9M売上(前年比) | 3Q単体売上(前年比) |
|---|---|---|---|
| 金融ソリューション | 銀行・信託向け受託開発、BANK・R | 280(+10.8%) | 95(+6.8%) |
| ビジネスソリューション | POSITIVE(人事)、STRAVIS(連結会計)、Ci*X | 232(+13.9%) | 75(+4.3%) |
| 製造ソリューション | PLM/ALM、CAE、製造業向けコンサル | 465(+1.9%) | 155(+5.9%) |
| コミュニケーションIT | 電通グループ・運輸業向け受託開発、基幹システム | 361(+20.6%) | 126(+23.7%) |
出典:2026年12月期3Q決算説明資料。中計「社会進化実装2027」の目標は2027年に売上2,100億円・営業利益315億円・営業利益率15%・ROE18%以上。
主要指標
| 項目 | 値 | 出典・注記 |
|---|---|---|
| FY12/25 実績 | 売上 1,649億円(+8.0%)/営業利益 229億円(+8.8%)/純利益 164億円、EPS 83.8円 | 決算短信 |
| FY12/26 会社予想(据置) | 売上 1,820億円/営業利益 255億円/経常 261億円/純利益 180億円、EPS 92.2円 | 3Q説明資料 |
| 9M進捗 | 売上 1,338億円(+10.4%)/営業利益 179億円(+9.9%)、通期比 売上73.5%・営業利益70.2%(会社開示) | 3Q説明資料 |
| 配当 | 2026/8/28に年間45円→22.5円に修正(TOBに伴い期末配当を無配化)。株式分割後ベースの表記は未確認 | 株探 |
| TOB | 買付者:合同会社VIC(伊藤忠商事80%・IFP 20%)、価格2,880円、期間11/2–12/2(延長時12/15)、下限9,340,400株・上限なし、最大約2,152億円。取引後の持分は電通グループ61.78%・VIC 38.22%。2027年2月上旬に株式併合、上場廃止予定。CTCと業務提携 | 伊藤忠プレス・PR TIMES |
| 株価(2026/10/30終値) | 2,869円(TOB価格比 △0.4%、試算)。1カ月 +0.2%、3カ月 +6.8%、1年 +19.2%、52週レンジ 1,728–2,930円(試算) | Yahoo Finance(sources/yf_4812.T.json) |
| 時価総額 | 5,610億円 | 株探 |
| PER(会社予想)/PBR/配当利回り | 31.1倍/5.33倍/0.78%(いずれもTOB価格に張り付いた株価ベース) | 株探 |
| EV/EBITDA | 未算出(未確認事項参照) | — |
投資論点・主要な争点
- TOBの成否:下限は9,340,400株と低く、成立のハードルは低いとみる(筆者分析)。アクティビスト(Oasisが5%超を保有、8/17報告)が価格に異議を唱えるかが唯一の不確定要因。
- 価格の妥当性:2,880円はPER(会社予想EPS 92.2円)で約31倍(試算)。8/27終値2,739円比+5.1%(試算)とプレミアムは小さい。少数株主の扱いは7/29の質疑でも論点だった。
- 事業:受注残は前年比+20.7%と高水準。製造(自動車向けコンサル減速)とR&D負担による利益率低下が課題。
- 上場廃止後:株式投資の対象としての論点は11–12月のTOBで終わる。CTCとの提携など伊藤忠・電通グループのIT再編としての意味が残る。
最新の見立て
3Q単体は売上+10.2%、営業利益△1.2%(試算)と利益の伸びが鈍化。受注高は前年の製造向け大型サブスク受注の反動で△14.3%。株価はTOB価格2,880円に張り付き、業績への反応はほぼない。11/2開始のTOBが12/2に成立すれば、2027年2月の株式併合を経て上場廃止。監視ポイントは、応募状況、Oasis等の反対表明、価格引き上げの有無。
イベント(過去12カ月)
| 日付 | イベント | インプリケーション(筆者分析) | 株価反応(翌営業日、試算) |
|---|---|---|---|
| 2026/2/12 | FY12/25決算・FY26予想(純利益+10%、市場予想平均を下回る=日経) | 大型R&D投資を織り込んだ予想が嫌気された | △10.93%(対TOPIX △9.34pt)※発表日当日も△6.6% |
| 2026/4/28 | 1Q決算(営業益+14.0%、受注+19.8%) | 受注の強さを好感 | +2.61%(対TOPIX +4.09pt) |
| 2026/7/29 | 2Q決算(受注残+38.6%) | 製造の利益弱含み。少数株主保護が質疑に | △0.70%(対TOPIX △0.16pt) |
| 2026/8/17 | Oasisが5%超の大量保有報告 | TOB価格を巡るアクティビストの関与 | 未計測 |
| 2026/8/27 | 日経がTOB計画を報道(報道時刻は未確認) | — | 8/27→8/28 +6.17%(対TOPIX +5.56pt) |
| 2026/8/28 | VICによるTOB(2,880円)に賛同・応募推奨、配当予想修正(45→22.5円)、CTC業務提携 | 上場廃止へ。株価はTOB価格に収れん | 8/28→8/31 △1.89%(対TOPIX △2.24pt) |
| 2026/10/30 | 3Q決算・TOB開始決定(11/2開始) | 業績は据え置き | 翌営業日(11/2)未到来 |
| 2026/11/2–12/2 | TOB期間(延長時12/15) | — | — |
四半期決算(新しい順)
2026年12月期 3Q(7–9月)
発表:2026/10/30 15:30(大引け後)。同日にTOB開始を決定
売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)
| 項目 | 3Q実績 | 前年同期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 451 | 409 | +10.2% |
| 営業利益 | 55 | 56 | △1.2% |
| 営業利益率 | 12.3% | 13.7% | △1.4pt(試算) |
| 9M営業利益 | 179 | 163 | +9.9% |
3Q単体のセグメント売上:金融95(+6.8%)、ビジネス75(+4.3%)、製造155(+5.9%)、コミュニケーションIT126(+23.7%)。コンサルティングサービスの減収・収益性低下、研究開発費増(9Mで+9.1億円)が利益率を押し下げた。
受注・受注残
| 項目 | 3Q(7–9月) | 前年比 | 9M累計 | 前年比 | 期末受注残 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 410 | △14.3% | 1,499 | +8.7% | 925 | +20.7% |
| 金融 | 100 | +6.8% | 325 | +12.3% | 173 | +40.8% |
| ビジネス | 54 | △13.1% | 209 | △7.4% | 97 | +2.6% |
| 製造 | 143 | △42.1% | 537 | △2.2% | 428 | +13.0% |
| コミュニケーションIT | 113 | +50.2% | 428 | +36.0% | 226 | +33.6% |
3Q受注の減少は、前年同期の製造向けソフトウェア(サブスクリプション)大型受注の反動(会社説明)。
業績予想の変更
通期予想(売上1,820/営業利益255/純利益180億円)据え置き。経常利益の進捗71.1%は過去5年平均72.4%をやや下回る(株探)。
説明会・開示の主なポイント
- 金融:信託銀行・メガバンク向け受託開発、政府系・地域金融機関向けBANK・Rが拡大
- ビジネス:POSITIVE(商社・電力)、STRAVIS(商社・不動産)が拡大
- 製造:自動車向けコンサルが減少、ALM/PLMの拡大で増収・減益
- 重要な後発事象としてVICによるTOBを記載
インプリケーション(筆者分析)
利益の伸びは鈍化したが、受注残+20.7%で来期の売上の確度は高い。ただしTOBで株価は2,880円に固定されており、決算の株価への影響は限られる。
株価反応(試算)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 発表前日終値 | 2,868円(10/29) |
| 発表日終値 | 2,869円(10/30) |
| 翌営業日終値(11/2) | 未到来 |
| 騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) | — |
| 同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) | — |
| 対TOPIX相対(試算) | — |
翌営業日は11/2(TOB開始日)。TOB価格2,880円に張り付き。
2026年12月期 2Q(4–6月)
発表:2026/7/29(短信開示は7/28付ファイル)
売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)
| 項目 | 2Q実績 | 前年同期 | 前年比(試算) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 448 | 400 | +12.1% |
| 営業利益 | 58 | 49 | +17.9% |
上期の製造ソリューションはALM・PLMの拡大で売上は前年並みだが、人件費・研究開発費増で営業利益は31.9億円(△22.7%)(中間期短信)。
受注・受注残
上期受注高1,089億円(前年比+20.9%)、受注残高966億円(+38.6%)。製造は受注高393億円(+30.6%)、受注残440億円(+58.5%)(半期報告書)。2Q単体の受注高は約508億円(上期−1Q、試算)。
業績予想の変更
通期予想は据え置き。セグメント別予想も据え置いたが、会社は「製造は下期に計画どおりの高成長が見込めているわけではない」と説明。
説明会・開示の主なポイント
- コンサルの約半分が輸送機器向けで投資抑制の影響。2027年には増収転換させる考え
- ビジネスソリューションの利益率低下は組織改革による全社費用の配賦増で、事業の悪化ではない
- 受注残966億円のうち55–60%程度が下期に売上計上見込み
- AIコストは上期で数億円
- 少数株主保護の質問に「報道後も考えは変わらない」と回答
インプリケーション(筆者分析)
受注残の積み上がりは強いが、製造の利益と自動車向けコンサルが弱点。少数株主に関する質疑は、のちのTOBにつながる論点だった。
株価反応(試算)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 発表前日終値 | 2,708円(7/28) |
| 発表日終値 | 2,733円(7/29) |
| 翌営業日終値(7/30) | 2,714円 |
| 騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) | △0.70% |
| 同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) | △0.53% |
| 対TOPIX相対(試算) | △0.16pt |
2026年12月期 1Q(1–3月)
発表:2026/4/28(短信は4/27付ファイル)
売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)
| 項目 | 1Q実績 | 前年同期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 438 | 402 | +8.9% |
| 営業利益 | 66 | 58 | +14.0% |
セグメント売上:金融91(+9.6%)、ビジネス77(+35.4%)、製造156(△3.5%)、コミュニケーションIT114(+13.1%)。製造はSAP導入の減少と輸送機器向けコンサルの低調で減収・減益。
受注・受注残
受注高581億円(+19.8%)、受注残906億円(+33.0%)。全セグメントで受注高が増加し、製造は217億円(+28.1%)(1Q説明資料)。
業績予想の変更
通期予想は据え置き。
説明会・開示の主なポイント
- 金融:メガバンク・政府系・信託向け受託開発、BANK・R導入が拡大
- ビジネス:POSITIVE(電力・商社)、STRAVIS(商社)が拡大
インプリケーション(筆者分析)
2月の決算後の急落を受注の強さで取り戻す内容だった。
株価反応(試算)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 発表前日終値 | 2,142円(4/27) |
| 発表日終値 | 2,143円(4/28) |
| 翌営業日終値(4/30) | 2,199円 |
| 騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) | +2.61% |
| 同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) | △1.47% |
| 対TOPIX相対(試算) | +4.09pt |
4/29は祝日。
2025年12月期 4Q(10–12月)・通期
発表:2026/2/12(短信PDFは2/10付ファイル名。発表時刻は未確認)
売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)
| 項目 | 4Q実績 | 通期実績 | 通期前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 437 | 1,649 | +8.0% |
| 営業利益 | 66 | 229 | +8.8% |
| 純利益 | — | 164 | +8.3% |
売上は10期連続、営業利益・純利益は8期連続で過去最高。7/30時点の計画に対し売上は△1.9%未達、営業利益はほぼ計画どおり(決算説明資料)。
受注・受注残
4Q受注高435億円(+19.4%、ビジネスソリューションのソフトウェア製品が中心)。通期受注高1,813億円(+14.3%)、期末受注残763億円(+27.5%)。
業績予想の変更
FY12/26予想:売上1,820億円・営業利益255億円・純利益180億円(研究開発費 約+17億円の大型投資を織り込み)。日経は純利益予想が市場予想平均を下回ると報道。
説明会・開示の主なポイント
- 各セグメントで大型の研究開発投資を計画
- 中計「社会進化実装2027」の目標を再確認
インプリケーション(筆者分析)
R&D先行投資で利益成長が市場の期待を下回り、株価は2日で大きく下落した。
株価反応(試算)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 発表前日終値 | 2,193円(2/10) |
| 発表日終値 | 2,049円(2/12) |
| 翌営業日終値(2/13) | 1,825円 |
| 騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) | △10.93% |
| 同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) | △1.59% |
| 対TOPIX相対(試算) | △9.34pt |
発表日当日も△6.6%(前日比)で、発表が場中だった可能性(未確認)。2/11は祝日。
株価データ:Yahoo Finance チャートAPI(4812.T/1306.T)の日次終値(分割調整後)を筆者がダウンロードし試算(sources/yf_4812.T.json, sources/yf_1306.T.json)。TOPIXは指数の日次データを取得できなかったため、TOPIX連動ETF(1306.T)の騰落率で代替(試算・近似)。決算発表が大引け後の場合、初期反応は「発表日終値→翌営業日終値」で計測。
未確認事項
- EV/EBITDA未算出
- 4Q決算の正確な発表時刻(場中か引け後か)
- 3Q決算説明会の質疑応答要旨(未取得)
- 日経のTOB報道の時刻(8/27の場中か引け後か)
- 配当22.5円が分割後ベースかどうか、分割の比率と時期
- 伊藤忠プレス(URL上は8/31付)と会社の賛同決議日(8/28)の日付差
- Oasisの保有比率の推移、TOBへの賛否
出典
- 2026年12月期3Q決算説明資料
- 2026年12月期中間期決算短信
- 2Q決算説明会 質疑応答要旨
- 半期報告書
- 1Q決算説明資料
- 1Q決算短信
- 2025年12月期決算説明会資料
- 2025年12月期決算短信
- 伊藤忠商事プレスリリース(TOB)
- PR TIMES(TOB)
- 日経:純利益予想が市場予想を下回る
- 日経:1〜9月期
- 株探 決算
- 株探ニュース(TOB)
- 株探ニュース(配当修正)
- 株探ニュース(3Q)
- 株探ニュース(Oasis)
最終更新日:2026/10/31