【MBO】Sandboxによるデジタルハーツホールディングス(3676)の非公開化(2026/08/06発表)

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在

最終更新日:2026/10/31 | ステータス:TOB成立済み・スクイーズアウト手続中(2026/11/20臨時株主総会、12/11上場廃止予定)
※本エントリはデジタルハーツホールディングス及び公開買付者の適時開示(2026/5/13〜10/23)に基づく。「試算」と付した数値は筆者計算、「所感・論点」は筆者の分析であり開示内容ではない。

1. 案件サマリー

一言で:ソフトウェアのデバッグ・品質保証大手デジタルハーツホールディングス(東証プライム)の創業者で代表取締役会長の宮澤栄一氏(42.27%保有)が、全株式を保有するSandboxを通じて1株1,060円のTOB+株式併合で非公開化するMBO。資金はみずほ銀行からの借入れ(上限148.51億円)。TOBは応募11,187,236株で成立した。

項目 内容
発表日 2026年8月6日(木)16:00
対象会社 株式会社デジタルハーツホールディングス(東証プライム 3676)
買付者 株式会社Sandbox(2026/7/13設立。宮澤氏が発行済株式の全てを所有し、代表取締役を務める)
スキーム MBO:TOB(下限あり・上限なし、MoMなし)→ 株式併合(2,975,211株を1株)。宮澤氏所有株式は不応募
価格 普通株式 1,060円
プレミアム 前日終値比 +40.96%、1ヶ月平均比 +43.05%、3ヶ月平均比 +43.44%、6ヶ月平均比 +31.68%
取引規模 買付予定数13,373,171株×1,060円=約141.8億円(試算)。実際の買付 11,187,236株=約118.6億円(試算)。TOB価格ベースの株式価値 約236.4億円(試算)
ステータス TOB成立(2026/9/24期間満了、9/30決済)。臨時株主総会 2026/11/20、上場廃止 12/11、併合効力発生 12/15(いずれも予定)
業種 情報・通信/ソフトウェアテスト・品質保証、サイバーセキュリティ
タグ TOB、MBO、非公開化、オーナー経営者、創業者、LBOローン、MoMなし、フェアネス・オピニオン、プライム市場、ソフトウェアテスト

2. 当事者概要

2.1 対象会社:デジタルハーツホールディングス

  • 事業:ゲーム等のデバッグを祖業とし、エンタープライズシステム向けのソフトウェアテスト(AGESTグループ事業)、サイバーセキュリティ等を通じて顧客のソフトウェア開発の品質向上を支援。
  • 代表者:代表取締役会長 宮澤栄一(筆頭株主)、代表取締役社長CEO 筑紫敏矢。
  • 株式:発行済株式総数23,890,800株、自己株式1,591,996株、本基準株式数22,298,804株(2026/6/30時点)。
  • 大株主:宮澤氏 9,425,633株(42.27%)。
連結業績(百万円) 2025/3期 実績 2026/3期 実績
売上高 39,748(+2.5%) 38,928(△2.1%)
EBITDA(会社開示) 3,456 3,562(+3.1%)
営業利益 2,430(+19.1%) 2,626(+8.1%)
営業利益率 6.1% 6.7%
親会社株主に帰属する当期純利益 629 1,181(+87.7%)
EPS(円) 28.25 53.00

出典:2026年3月期決算短信(2026/5/13)・決算説明資料。2026/3末 総資産21,531百万円、純資産9,961百万円、自己資本比率44.7%、1株当たり純資産431.86円、ROE12.7%、現金及び預金7,132百万円。2026/3期は特別損失を計上(同日開示)。2027/3期の配当予想(年25円)は無配に修正し、株主優待制度を廃止(8/6)。

2.2 買付者

  • 株式会社Sandbox:本取引のために2026/7/13に設立。宮澤氏が全株式を保有。宮澤氏は取引後も継続して経営に従事する予定。

2.3 主要株主/契約

  • 宮澤氏所有株式9,425,633株はTOBに応募しない(不応募株式)。
  • 筑紫氏(社長CEO)保有の譲渡制限付株式はTOBに応募できないが、併合議案への賛成を通じて下限設定の分母・分子に組み込まれている。

3. 取引スキーム

3.1 ステップ

  1. TOB(2026/8/7〜9/24、31営業日)。買付予定数13,373,171株、下限5,922,743株、上限なし。
  2. 決済(9/30)。Sandboxの議決権所有割合は50.17%(111,872個)。宮澤氏の不応募分と合わせて9割超(試算:50.17%+42.27%)。
  3. 株式併合:2,975,211株を1株に併合(減少する発行済株式総数22,298,795株)。臨時株主総会11/20、効力発生12/15(予定)。

3.2 スキーム選択の理由

  • 下限:TOB後に公開買付者・宮澤氏・筑紫氏で総議決権の3分の2以上を確保し、株式併合の特別決議を確実に可決できる水準に設定。
  • MoMを設定しない理由:成立を不安定にし、応募を希望する一般株主の利益に資さない可能性があるため。

3.3 主要契約・その他

  • みずほ銀行からの借入れ(本銀行融資、上限14,851百万円)。TOB成立を条件に決済開始日の前営業日までに実行予定。
  • 公開買付代理人:みずほ証券(復代理人 楽天証券)。

4. 価格・プレミアム分析

基準 株価(円) プレミアム 類似事例平均(49件)
前営業日終値(2026/8/5) 752 +40.96% 38.58%
1ヶ月平均 741 +43.05% 41.47%
3ヶ月平均 739 +43.44% 43.45%
6ヶ月平均 805 +31.68% 43.93%

類似事例:2019/6/28(経産省「公正なM&Aの在り方に関する指針」公表)以降の非公開化目的TOBのうち、公表前PBR1倍以上のMBOで対象会社が賛同・応募推奨した49件の平均値。

4.1 バリュエーション指標(試算)

指標 数値(試算) 前提
株式価値 約236.4億円 1,060円×22,298,804株
PER(実績) 20.0倍 2026/3期EPS 53.00円
PBR 2.45倍 2026/3末BPS 431.86円
EV/EBITDA 約4.6倍(参考) 現金及び預金7,132百万円のみ控除し有利子負債は未考慮、2026/3期EBITDA 3,562百万円

5. 株式価値算定

算定機関(依頼者) 市場株価平均法 DCF法 FO
KPMG FAS(当社FA・算定機関) 739〜805円 986〜1,213円 取得せず
マクサス・コーポレートアドバイザリー(特別委員会)/算定書8/6付 739〜805円 953〜1,175円 取得
  • DCFの永久成長率は両社とも1.0〜2.0%。継続価値はマクサス17,190〜22,065百万円、KPMG 18,710〜23,719百万円。
  • 1,060円は両社の市場株価平均法の上限を上回り、DCFレンジの基準値(中央値)も上回る。
  • KPMGの報酬には成功報酬が含まれる(当社は一般的な実務であり独立性は否定されないと判断)。

6. 交渉経緯・タイムライン

日付 出来事
2026/6/4 宮澤氏が当社に本取引の提案書を提出
2026/6/11 特別委員会を設置。リーガル(TMI総合法律事務所)を選任
2026/6/12 FA・算定機関(KPMG FAS)を選任
2026/7/13 Sandbox設立
2026/7/15 第1回提案 900円(7/14終値730円比+23.29%)
2026/7/21 第2回提案 980円(7/17終値727円比+34.80%)
2026/7/24 第3回提案 1,025円(7/23終値729円比+40.60%)
2026/7/29 第4回提案 1,040円(7/28終値747円比+39.22%)
2026/8/3 最終提案 1,060円(7/31終値755円比+40.40%)
2026/8/6 取締役会が賛同・応募推奨を決議し公表。配当無配・優待廃止
2026/9/15 臨時株主総会の基準日(9/30)設定を公表
2026/9/24 TOB期間満了。応募11,187,236株(下限5,922,743株)で成立。9/25結果公表
2026/9/30 決済。親会社・筆頭株主が異動
2026/10/23 株式併合等の臨時株主総会付議と自己株式消却を決議

第1回提案からの引上げ幅は+160円(+17.8%、試算)。

7. 公正性担保措置

  • 特別委員会:柳谷孝氏(独立社外取締役)、牟禮恵美子氏(独立社外取締役)、近澤諒氏(社外取締役)の3名。報酬は固定報酬のみ。
  • 特別委員会独自の算定書とフェアネス・オピニオン:マクサス・コーポレートアドバイザリー。
  • 当社のFA・算定機関:KPMG FAS。リーガル:TMI総合法律事務所。
  • TOB期間は31営業日。MoMは未設定。

8. シナジー・ディスシナジー

8.1 期待効果(開示ベース)

  • AIの急速な発達やDXの進展でソフトウェア品質保証・サイバーセキュリティ市場の構造が変わる中、短期的な業績変動に左右されず、安定した経営体制の下で中長期の企業価値向上を図る。非公開化により資本構成を再構築し、事業を積極的に展開する。

8.2 ディスシナジー・デメリット

  • 上場廃止に伴う資金調達手段・知名度・採用への一般的な影響。
  • 買収ローン(上限148.51億円)の返済負担。

9. 資金調達・取引総額

  • 買付代金は最大約141.8億円(試算)、実績は約118.6億円(試算)。みずほ銀行からの借入れ(上限14,851百万円)で賄う予定。

10. 少数株主への影響

  • 応募率は買付予定数13,373,171株に対し83.7%(試算)。
  • 不応募株主は株式併合により1,060円相当の金銭を受け取る予定。
  • 2027/3期配当は無配、株主優待は廃止。

11. スケジュール

項目 日程
公表 2026/8/6
TOB期間 2026/8/7〜9/24(31営業日)
結果公表/決済開始 2026/9/25/9/30
臨時株主総会・整理銘柄指定 2026/11/20(予定)
売買最終日/上場廃止 2026/12/10/12/11(予定)
株式併合の効力発生 2026/12/15(予定)

12. 所感・論点(筆者分析)

以下は開示内容ではなく筆者の見解。

  • 「教科書通り」のプレミアム水準:直前・1ヶ月・3ヶ月のプレミアムは類似49件平均とほぼ一致。6ヶ月平均比のみ31.68%と低いのは、2026年前半の株価が高かったため。
  • 低PBR帯でのMBO:PBR約2.5倍、PER20倍。EBITDA約36億円に対し買収ローン上限約149億円で、レバレッジは4倍程度(試算・概算)。
  • 算定機関2社・FOは委員会側のみ:当社FAに成功報酬型のKPMG、委員会に固定報酬のマクサス(FO付)という役割分担。

13. 未確認事項

  • 有利子負債の残高(EV算定は未精査。本稿のEV/EBITDAは現金のみ控除した参考値)。
  • 公開買付者のリーガル・アドバイザー、宮澤氏以外の役員の処遇。
  • 2026/3期特別損失の金額・内容。
  • 端数処理の詳細と価格決定申立ての有無。

14. 出典

※TDnetのURLは約1ヶ月で掲載終了。上記はJPXアーカイブ(www2.jpx.co.jp/disc/)のURL。以後はEDINET・各社IRサイトも参照。

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