【TOB】日本企業成長投資(NIC)によるCEホールディングス(4320)の非公開化(2026/08/05発表)

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在

最終更新日:2026/10/31 | ステータス:TOB成立済み・スクイーズアウト手続中(2026/11/13臨時株主総会、自社株TOB後の2027/1/13上場廃止予定)
※本エントリはCEホールディングス及び公開買付者の適時開示(2026/5/15〜10/9)に基づく。「試算」と付した数値は筆者計算、「所感・論点」は筆者の分析であり開示内容ではない。

1. 案件サマリー

一言で:中堅・中小病院向け電子カルテ大手のCEホールディングス(札幌)を、日本企業成長投資(NIC)が投資関連サービスを提供するNICファンド傘下のSK-03が1株1,650円のTOBで非公開化する案件。当社が主導した入札プロセス(第一次入札5社)を経てNICが選定された。創業者杉本氏からの並行買付け(1,600円)、NEC・光通信グループからの自社株TOB(1,501円)、光通信子会社HTIOからの自己株式取得(1,501円)を組み合わせた多段階スキーム。公表前営業日終値1,720円に対してはディスカウント(−4.07%)となるため、取締役会は「賛同・応募は中立」とした。TOBは応募7,624,702株で成立。

項目 内容
発表日 2026年8月5日(水)20:00
対象会社 株式会社CEホールディングス(東証スタンダード・札証 4320)
買付者 SK-03株式会社(2026/6/9設立、東京都千代田区)。SK-02(中間持株会社)→SK-01(最終持株会社)を経てNICファンド(NIC Fund III Cayman, LP等)が保有
スキーム TOB(下限あり・上限なし)+杉本氏からの並行買付け → 子会社配当 → 自社株TOB → 株式併合(3,204,500株を1株)→ 無議決権優先株発行・減資 → HTIOからの自己株式取得
価格 TOB 1,650円/並行買付け 1,600円/自社株TOB・自己株式取得 1,501円
プレミアム 報道前(5/14終値1,199円)比 +37.61%。公表前営業日(8/4終値1,720円)比 −4.07%
取引規模 TOB価格ベースの株式価値 約275.1億円(試算:1,650円×16,675,537株)。TOB実績 7,624,702株×1,650円=約125.8億円(試算)
ステータス TOB成立(2026/9/17期間満了、9/29決済)。臨時株主総会 2026/11/13、自社株TOB 11月中旬〜12月中旬、上場廃止 2027/1/13、併合効力発生 1/15(いずれも予定)
業種 情報・通信/医療IT(電子カルテ)
タグ TOB、非公開化、PEファンド、日本企業成長投資、入札プロセス、自社株TOB、並行買付け、みなし配当、応募中立、ディスカウントTOB、憶測報道、スタンダード市場、医療IT

2. 当事者概要

2.1 対象会社:CEホールディングス

  • 事業:中堅・中小病院向け電子カルテを中核とする医療ITの持株会社。新規導入に加え保守料・システム更新の売上が積み上がるストック型事業。
  • 代表者:代表取締役会長CEO 杉本惠昭(筆頭株主)、代表取締役社長COO 新里雅則。
  • 株式:発行済株式総数17,039,400株、自己株式363,863株、基準株式数16,675,537株(2026/6/30時点)。
  • 大株主:光通信グループ合計4,349,000株(26.08%。UH Partners 3 6.94%、UH Partners 2 6.86%、光通信 6.47%、エスアイエル 5.81%等)、杉本氏1,648,600株(9.89%)、NEC 1,200,000株(7.20%)。
連結業績(百万円) 2024/9期 実績 2025/9期 実績
売上高 14,554(+6.8%) 15,831(+8.8%)
営業利益 1,148(△8.5%) 1,411(+22.9%)
営業利益率 7.9%(試算) 8.9%
経常利益 1,154 1,426(+23.6%)
親会社株主に帰属する当期純利益 123 1,557
EPS(円) 8.19 98.85

出典:2025年9月期決算短信(2025/11/7)。2025/9末 総資産6,697百万円、純資産5,050百万円、自己資本比率75.4%、1株当たり純資産303.51円、ROE21.6%。意見表明では2026/6/30現在の純資産8,687百万円・1株当たり純資産520.94円を引用。2026/9期の期末配当予想は無配に修正(8/5)。

2.2 買付者

  • SK-03株式会社(代表取締役 𫝆井良典)。本取引のために設立された会社。株主はSK-02→SK-01と連なり、最終的にNICファンド(NIC Fund III Cayman, LP、Camellia/Cerasus/Wisteria Fund III Cayman, LP)が出資。
  • 日本企業成長投資:NICファンドに投資関連サービスを提供する独立系サービスプロバイダー。ヘルスケア、IT・ビジネスサービス、コンシューマーの3領域に特化し、ヘルスケア領域では11社に投資・経営支援。

2.3 主要株主/契約

  • 杉本氏:所有1,648,600株のうち譲渡制限付株式197,800株を除く1,450,800株(8.70%)を1,600円で公開買付者に相対譲渡(並行買付け)。
  • 光通信グループ:TOBには応募せず、自社株TOBに1,152,900株を応募。光通信子会社HTIOは株式併合後も残存株主となり、その3,204,500株は当社が1,501円で自己株式取得する予定。
  • NEC:当初は自社株TOBへの応募想定。2026/8/31にTOB不応募・自社株TOB応募契約(1,200,000株)を締結し、併合議案への賛成を約した。
  • EMシステムズ・日本事務器:2026/8/31に、所有株式の全部をTOBに応募する応募契約を締結。

3. 取引スキーム

3.1 ステップ

  1. TOB(2026/8/6〜9/17、30営業日)、1,650円。当初の下限4,968,300株(29.79%)・買付予定数10,486,037株。8/31にNECとの不応募契約を受け、下限3,768,300株(22.60%)・買付予定数9,286,037株に変更。
  2. 並行買付け:杉本氏から1,450,800株を1,600円で取得。
  3. 当社グループ内配当:自社株TOBの資金・分配可能額確保のため、子会社シーエスアイから当社へ29億円を配当(9/29計上)。
  4. 自社株TOB:株式併合承認を条件に、1,501円・上限2,495,300株(14.96%)で実施(11月中旬〜12月中旬、20営業日予定)。光通信グループ1,152,900株とNEC 1,200,000株の応募を想定。
  5. 株式併合:3,204,500株を1株に併合。効力発生後の発行済株式は4株となり、株主はSK-03とHTIOのみとなる。臨時株主総会11/13、効力発生2027/1/15(予定)。自己株式は2027/1/14に全部消却予定。
  6. SK-03への無議決権優先株式発行・減資(2027年1月頃)。
  7. HTIO保有3,204,500株を1,501円で自己株式取得。

3.2 スキーム選択の理由

  • 自社株TOB・自己株式取得の価格1,501円は、法人株主のみなし配当益金不算入を前提に、税引後手取りがTOB価格1,650円で応募した場合と同等になるよう設定されたもの。TOBの価格より低い価格で大株主から取得し、一般株主への支払いを厚くする設計。
  • 並行買付け1,600円は、創業者による価格交渉への関与と一般株主との利益相反を踏まえた価格。

3.3 資金調達

  • SK-03:中間持株会社からの出資(上限12,612百万円)と、三井住友銀行・三菱UFJ銀行からの買収ローン(上限13,000百万円)。当社株式等に担保設定予定。
  • 最終持株会社:三井住友ファイナンス&リースからの借入れ(上限3,000百万円)とNICファンド各LPからの出資(合計上限9,612百万円)。

4. 価格・プレミアム分析

基準 報道前(2026/5/14基準) プレミアム 公表前(2026/8/4基準) プレミアム MBO等類似事例中央値
終値 1,199 +37.61% 1,720 −4.07% 38.99%
1ヶ月平均 1,192 +38.42% 1,734 −4.84% 41.51%
3ヶ月平均 1,222 +35.02% 1,668 −1.08% 44.49%
6ヶ月平均 1,145 +44.10% 1,456 +13.32% 44.69%

2026/5/15朝に非公開化検討の報道があり、当社は同日「株式非公開化を含む様々な施策を幅広く検討しているが、決定した事実はない」と開示。株価は5/14終値1,199円から5/15に1,499円、5/18に1,699円へ上昇した。特別委員会は報道前株価を基準とするプレミアムを重視したが、公表前終値比でディスカウントとなる可能性が高いことから、応募推奨はせず「中立」が相当と答申した。

4.1 バリュエーション指標(試算)

指標 数値(試算) 前提
株式価値 約275.1億円 1,650円×16,675,537株
PER(実績) 16.7倍 2025/9期EPS 98.85円
PBR 3.17倍 2026/6末BPS 520.94円(開示)。2025/9末BPS 303.51円ベースでは5.44倍

5. 株式価値算定

算定機関(依頼者) 市場株価法 類似会社比較法 DCF法 FO
AGSFAS(当社)/算定書8/4付 ①報道前基準 1,145〜1,222円/②公表前基準 1,456〜1,734円 980〜1,145円 890〜1,304円 取得せず
  • 1,650円は、市場株価法①・類似会社比較法・DCF法の上限を上回るが、市場株価法②のレンジ(1,456〜1,734円)の範囲内。
  • 特別委員会独自の算定機関の選任、公開買付者側の算定内容は本稿では確認していない(未確認事項参照)。

6. 交渉経緯・タイムライン

日付 出来事
2026/3中旬 当社が複数の事業会社・PEファンドに入札プロセス参加を打診
2026/4上旬 関心を示した4社に第一次入札プロセスを開始(4月下旬に1社が加わり計5社)
2026/4/20 取締役会がFA(三井住友銀行企業情報部)、リーガル(シティユーワ法律事務所)、算定機関(AGSFAS)を選定し、特別委員会を設置。同日NICが初期的意向表明書を提出
2026/5/8 NICが最終入札プロセスの案内を受領(DDは5月初旬〜6月中旬)
2026/5/15 非公開化検討の報道を受け、当社がコメントを開示
2026/6/19 NICが法的拘束力ある提案:TOB 1,600円(自社株TOB 1,337円)。最終入札の候補は2社
2026/7/23 TOB 1,620円(自社株TOB 1,353円、自己株式取得 1,483円)
2026/7/28 特別委員会が引上げを要請
2026/7/29 TOB 1,640円(自社株TOB・自己株式取得 1,501円、並行買付け 1,600円)。NECからも引上げ要望
2026/7/31 特別委員会が再度引上げを要請
2026/8/4 最終提案 1,650円
2026/8/5 取締役会が賛同・応募中立を決議。TOB・自社株TOB予定を公表。期末無配に修正
2026/8/31 NEC不応募契約、EMシステムズ・日本事務器応募契約を受け、下限・買付予定数を変更。臨時株主総会の基準日(9/30)を設定
2026/9/17 TOB期間満了。応募7,624,702株(下限3,768,300株)で成立
2026/9/18 結果公表。子会社からの受取配当金29億円の計上を公表
2026/9/29 決済。公開買付者の議決権所有割合54.42%(9,075,502株、並行買付け分を含む)、親会社・筆頭株主が異動
2026/10/9 株式併合等の臨時株主総会付議と自己株式消却を決議

TOB価格の引上げ幅は6/19提案から+50円(+3.1%、試算)。

7. 公正性担保措置

  • 入札プロセス:第一次入札5社、最終入札2社による競争的プロセス。
  • 特別委員会:4名。出原丈二氏(社外取締役・監査等委員)、吉田周史氏(公認会計士、社外取締役・監査等委員)、星加美佳氏(弁護士、社外取締役・監査等委員)、須田雅秋氏(公認会計士、外部有識者)。自ら候補者と交渉する権限を付与され、2回の引上げ要請を行った。
  • FA:三井住友銀行企業情報部。リーガル:シティユーワ法律事務所。算定:AGSFAS(フェアネス・オピニオンは取得せず)。
  • TOB期間は30営業日。

8. シナジー・ディスシナジー

8.1 期待効果(開示ベース)

  • ヘルスケアテック領域における事業の深化・再編、NICのネットワークを活用した経営人材派遣・経営支援、M&Aを含む非連続な成長施策。
  • NICは中堅・中小病院向け電子カルテ市場の顧客基盤、ストック収益、手厚い保守体制を評価。

8.2 ディスシナジー・デメリット

  • 上場廃止に伴う資金調達手段・知名度・採用への一般的な影響。
  • 買収ローン(上限130億円)の返済負担と当社株式への担保設定。

9. 資金調達・取引総額

  • SK-03の調達上限は出資12,612百万円+買収ローン13,000百万円=25,612百万円(試算)。
  • 当社側の自社株TOB(最大2,495,300株×1,501円=約37.5億円、試算)と自己株式取得(3,204,500株×1,501円=約48.1億円、試算)は、子会社配当29億円等の当社資金で実施する建付け。

10. 少数株主への影響

  • 応募率は買付予定数9,286,037株に対し82.1%(試算)。
  • 不応募の一般株主は株式併合により1,650円相当の金銭を受け取る予定。
  • 公表前株価比ではディスカウント。報道後に取得した株主は損失となり得る。

11. スケジュール

項目 日程
公表 2026/8/5
TOB期間 2026/8/6〜9/17(30営業日)
結果公表/決済開始 2026/9/18/9/29
臨時株主総会 2026/11/13(予定)
自社株TOB 2026/11中旬〜12中旬(予定)
整理銘柄指定 自社株TOB成立開示日(12月中旬予定)〜2027/1/12
上場廃止 2027/1/13(予定)
自己株式消却/株式併合効力発生 2027/1/14/1/15(予定)

12. 所感・論点(筆者分析)

以下は開示内容ではなく筆者の見解。

  • 報道後の株価上昇と「応募中立」:報道前比+37.6%は類似事例並みだが、報道で株価が1,700円台に上がり、公表前比でディスカウントTOBとなった。報道基準日の考え方と応募中立の組合せは、イーソル等と並び参考になる。
  • みなし配当を使った価格差:法人大株主(光通信系・NEC)には1,501円の自社株TOB・自己株式取得を用い、税引後手取りを揃えつつ買付者のキャッシュ負担を抑える。光通信グループの持株の多い案件での典型的な設計。
  • 多段階で長いスケジュール:TOB決済から上場廃止まで約3.5ヶ月。自社株TOBの成立が併合効力発生の条件となっている。

13. 未確認事項

  • 特別委員会独自の算定機関の有無、公開買付者側の第三者算定。
  • 2025/9末純資産5,050百万円から2026/6末8,687百万円への増加要因(第3四半期短信・8/18訂正は未精査)。
  • 5/15報道の媒体名(当社開示は「一部報道」とのみ記載)。
  • EMシステムズ・日本事務器の応募株式数、HTIOの株式取得経緯。
  • 2026/9期通期決算(11月公表予定)と自社株TOBの開始公表は本稿未反映。

14. 出典

※TDnetのURLは約1ヶ月で掲載終了。上記はJPXアーカイブ(www2.jpx.co.jp/disc/)のURL。以後はEDINET・各社IRサイトも参照。

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