キヤノンMJ|企業ウォッチ

最終更新日:2026/10/31 | キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)(東証 8060) | 決算期:12月期
※本ページは会社開示(決算短信・説明資料・質疑応答)と報道に基づく。「試算」は筆者計算、「インプリケーション(筆者分析)」は筆者の見方であり開示内容ではない。金額は特記なき限り億円(百万円を億円換算、四捨五入)。

サマリー

キヤノン製品(複合機・カメラ・プリンター・産業機器)の国内販売と、キヤノンITソリューションズ等によるITソリューション(SI・サービス/アウトソーシング)を展開。2025年12月期は売上6,798億円・営業利益582億円で5期連続増収増益(決算短信)。2026年12月期は7/24に営業利益を600→630億円へ上方修正し、10/26の3Q決算でも据え置き。3Q単体は営業利益144億円(前年比+32.6%)と強かったが、通期据え置きが市場予想を下回るとの受け止めで翌日株価は△5.3%(試算)。

目次

事業概要・セグメント

報告セグメントは4つ(2026年12月期3Q、億円)。

セグメント 主な事業 3Q売上(前年比) 3Q営業利益(前年比) 9M売上/営業利益
エンタープライズ 大企業向けIT・SI、複合機 684(+7%) 53(+22%) 2,053/169(+20%)
エリア 中堅・中小企業向けIT・複合機・保守 588 56(+18%) 1,776/186(+15%)
コンスーマ カメラ・インクジェット・メモリカード等 333 28(+24%) 1,014/95(+31%)
プロフェッショナル 産業機器(半導体関連)・医療等 116(+31%) 13(+78%) 363/40

出典:2026年度3Q決算説明資料、四半期セグメント推移。長期経営構想(2026-2030)は2030年に売上8,500億円・営業利益750億円・ROE12%、ITS売上5,000億円を目標(長期経営構想)。

主要指標

項目 値 出典・注記
FY12/25 実績 売上 6,798億円/営業利益 582億円/経常 598億円/純利益 415億円、配当170円(分割前) 決算短信
FY12/26 会社予想(7/24修正、10/26据置) 売上 6,850億円/営業利益 630億円(期初600)/経常 640億円/純利益 440億円、EPS 213.7円、配当95円(分割後、期初90円) 決算短信ページ・株探
9M進捗(FY12/26) 売上 5,077億円(+3.2%)、営業利益 469億円(+22.8%)、通期営業利益予想に対し74.5%(試算) 3Q短信
株価(2026/10/30終値) 4,021円。1カ月 +9.0%、3カ月 +11.6%、1年 +25.8%、52週レンジ 3,105.5–4,284円(試算、分割調整後) Yahoo Finance(sources/yf_8060.T.json)
時価総額 8,933億円 株探
PER(会社予想)/PBR/配当利回り 18.8倍/2.11倍/2.36% 株探
EV/EBITDA 未算出(純現金・減価償却費を一次資料で未取得。未確認事項参照) —
資本政策 2026/4/1に1:2株式分割。自己株取得 上限300億円(2/2–10/30)、7/24に追加取得も発表 決算説明資料・Q2説明

投資論点・主要な争点

  • ITソリューションの質:SI・サービス/アウトソーシングは2桁成長。一方2Qに流通業向けSIで不採算案件、キヤノンITSは2Q営業益△9億円。受注は過去最高で「量」は十分、「採算」が論点。
  • 下期の反動:会社はWindows 10更新需要の反動、メモリ価格高騰、IT・研究開発投資増で下期を「減収減益」計画。3Qは計画を上回ったが4Qの残り計画(営業益約161億円、試算)が保守的かが争点。
  • メモリ価格の二面性:3Qは値上げ前の駆け込みでSSD・メモリカードが伸長。4Q以降の需要先食いリスク。
  • 株主還元:配当性向40%以上、5年で配当1,000億円、自己株買い。PER約19倍でバリュエーションは同業SI並みに切り上がっており、上方修正が続くかが株価のカギ。

最新の見立て

3Qは全セグメント増益で営業利益+32.6%と強いが、会社は通期630億円を据え置き、Fiscoによればコンセンサスを約20億円下回る。4Qの残り計画は前年4Q(200億円)を下回る水準(試算)で、保守的な計画とみる。年初来の株価上昇で期待値が上がっていたため翌日△5.3%。次の材料は1月下旬の通期決算と2027年計画、追加還元の有無。

イベント(過去12カ月)

日付 イベント インプリケーション(筆者分析) 株価反応(翌営業日、試算)
2026/1/28 FY12/25決算・FY26予想(営業利益600億円)、長期経営構想、1:2分割、自己株取得300億円 還元と成長計画を同時に示した。予想は小幅増益で保守的 +0.74%(対TOPIX +0.45pt)
2026/3/4 IR Day(Zoom) — 未計測
2026/4/1 株式分割(1:2)効力発生 流動性向上 —
2026/4/22 1Q決算(営業利益185億円、+40.7%試算) 好スタートを好感 +3.94%(対TOPIX +4.78pt)
2026/7/24 2Q決算・通期上方修正(営業益630億円)・増配(95円)・追加自己株取得 2Q単体は不採算SIで小幅減益、下期は減収減益計画 △0.48%(対TOPIX △2.10pt)
2026/10/26 3Q決算(営業利益144億円、+32.6%)・通期据置 上振れたが据え置きで失望売り △5.25%(対TOPIX △5.77pt)
2026/10/30 自己株取得期間(1/28決議分)終了 取得実績の開示待ち(未確認) —

四半期決算(新しい順)

2026年12月期 3Q(7–9月)

発表:2026/10/26 15:30(大引け後)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 3Q実績 前年同期 前年比 備考
売上高 1,679 1,580 +6.3% 大型複合機案件、文教・製造業向けIT
営業利益 144 109 +32.6% 営業利益率8.6%
9M営業利益 469 382 +22.8% 通期予想630億円の74.5%(試算)

セグメント:エンタープライズ 売上684(+7%)/営業益53(+22%)、エリア 588/56(+18%)、コンスーマ 333/28(+24%)、プロフェッショナル 116(+31%)/13(+78%)。計画比:四半期計画は非開示。

受注・受注残

キヤノンITソリューションズの3Q受注高・受注残は説明資料に記載があるが本ページでは数値未取得(未確認)。

業績予想の変更

通期予想(売上6,850/営業利益630/経常640/純利益440億円)は据え置き。

説明会・開示の主なポイント

  • Windows 10の更新需要の反動減を、大型複合機案件、文教・製造業向けのIT・SIでカバー
  • メモリ価格上昇前の駆け込みでSSD・メモリカードが伸長
  • Fisco報道:3Q営業利益は市場予想を約10億円上回ったが、通期据え置きでコンセンサスを約20億円下回る水準

インプリケーション(筆者分析)

4Qの残り計画(営業利益161億円=630−469、試算)は前年4Q(200億円)を2割下回る。下期投資と反動を織り込んでも保守的で、1月の決算で上振れする可能性があるとみる。ただし3Qの駆け込み需要は4Qの先食いになりうる。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 4,223円(10/23)
発表日終値 4,249円(10/26)
翌営業日終値(10/27) 4,026円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △5.25%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +0.53%
対TOPIX相対(試算) △5.77pt

据え置きへの失望。発表前に年初来高値圏(4,284円)にあった。

2026年12月期 2Q(4–6月)

発表:2026/7/24(説明会7/27)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 2Q実績 前年同期 前年比 備考
売上高 1,681 1,665 +1.0%(試算) ITソリューション+3%
営業利益 140 142 △1.4%(試算) 粗利率悪化、販管費△6億円
純利益 98 100 △2億円

SI・ソリューション+10%、サービス・アウトソーシング+8%。プロフェッショナルでは高採算の産業機器の構成比が低下、エンタープライズでは流通業向けSIで不採算案件。上期累計は社内計画を上回った(会社説明)。

受注・受注残

キヤノンITS受注高は前年比+13%で四半期の過去最高(データセンター、金融向けSI)。受注残は大型DC案件の売上化で△2%、DC事業を除くと+6%で過去最高(2Q説明(ノート付き))。

業績予想の変更

通期営業利益を600→630億円(+30)、経常607→640、純利益420→440億円へ上方修正。売上6,850億円は据え置き。年間配当90→95円。自己株の追加取得を決議。

説明会・開示の主なポイント

  • 下期は「減収減益」計画:Windows 10の反動、メモリ・資源価格の高騰、研究開発・IT投資の増加
  • キヤノンITSは営業益27億円(△9億円):不採算SIと提案活動強化に伴うSE費用
  • 6年連続増収増益・過去最高益の更新を目指す

インプリケーション(筆者分析)

上方修正と還元強化の一方で、2Q単体の減益と不採算SIが重荷になり、株価の反応は小さかった。受注は過去最高で量の問題はなく、論点は採算管理に移った。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 3,574円(7/23)
発表日終値 3,574円(7/24)
翌営業日終値(7/27) 3,557円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △0.48%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +1.63%
対TOPIX相対(試算) △2.10pt

市場上昇局面で出遅れ。

2026年12月期 1Q(1–3月)

発表:2026/4/22

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 1Q実績 前年同期 前年比(試算)
売上高 1,717 1,673 +2.6%
営業利益 185 132 +40.7%

会社は2Q説明で、1Qは粗利率改善と人件費・のれん償却費の減少で販管費△21億円と説明(報道要約による)。セグメント別の1Q数値は四半期セグメント表(エンタープライズ営業益73.5億円)を参照。

受注・受注残

1Q受注データは未取得(未確認)。

業績予想の変更

通期予想(営業利益600億円)は据え置き(7/24に上方修正)。

説明会・開示の主なポイント

  • 1Qが特に好調で上期の計画超過につながった(2Q説明会での会社コメント)

インプリケーション(筆者分析)

大幅増益で上方修正への期待が高まり、株価は対TOPIXでアウトパフォーム。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 3,611円(4/21)
発表日終値 3,600円(4/22)
翌営業日終値(4/23) 3,742円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) +3.94%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) △0.83%
対TOPIX相対(試算) +4.78pt

2025年12月期 4Q(10–12月)・通期

発表:2026/1/28

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 4Q実績 通期実績 通期前年比
売上高 1,880 6,798 +4.0%
営業利益 200 582 +9.5%
純利益 — 415 +5.5%

4Qの利益・利益率は四半期で過去最高(会社説明)。5期連続の増収増益(決算説明)。4Q前年比は未計算(未確認)。

受注・受注残

未取得(未確認)。

業績予想の変更

FY12/26予想:売上6,850/営業利益600(+3%)/経常607/純利益420億円、配当90円(分割後)。

説明会・開示の主なポイント

  • 長期経営構想2026-2030と中計2026-2028を公表
  • 1:2株式分割、自己株取得(300億円・500万株上限)
  • 年間配当170円(配当性向45%)

インプリケーション(筆者分析)

予想は小幅増益で保守的だが、還元と分割を好感。期初予想の保守性はその後の上方修正につながった。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 3,380円(1/27)
発表日終値 3,361円(1/28)
翌営業日終値(1/29) 3,386円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) +0.74%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +0.30%
対TOPIX相対(試算) +0.45pt

株価データ:Yahoo Finance チャートAPI(8060.T/1306.T)の日次終値(分割調整後)を筆者がダウンロードし試算(sources/yf_8060.T.json, sources/yf_1306.T.json)。TOPIXは指数の日次データを取得できなかったため、TOPIX連動ETF(1306.T)の騰落率で代替(試算・近似)。決算発表が大引け後の場合、初期反応は「発表日終値→翌営業日終値」で計測。

未確認事項

  • EV/EBITDA:純現金・D&Aを一次資料で取得できず未算出
  • 3Q・1Qのキヤノングループ ITS受注高・受注残の数値
  • 4Q25の前年同期比
  • 1/28決議の自己株取得の最終取得実績(10/30期限)
  • Fiscoのコンセンサス数値の原典(QUICKなど)
  • 3Q決算説明会の質疑応答要旨

出典

最終更新日:2026/10/31