DTS|企業ウォッチ

最終更新日:2026/11/02 | DTS(東証 9682) | 決算期:3月期
※本ページは会社開示(決算短信・説明資料・質疑応答)と報道に基づく。「試算」は筆者計算、「インプリケーション(筆者分析)」は筆者の見方であり開示内容ではない。金額は特記なき限り億円(百万円を億円換算、四捨五入)。

サマリー

金融(メガバンク・生保)・公共向けの業務システム開発、テクノロジー(ERP・組込み等)、ITインフラ・運用を手掛ける独立系SIer。2026年3月期は売上1,352億円・営業利益164億円で過去最高だが、メガバンク向け大型案件のピークアウトで2027年3月期1Qは△5.7%減収・△11.1%営業減益。株価は直近4回の決算すべてで翌日に下落し、対TOPIXで負けている(試算)。AVIなど大株主の動きと自社株消却が支え。11/2の2Q決算は上期売上645億円(△3.7%)・営業利益80億円(△1.3%)。大型プロダクト案件の失注・消滅で通期売上予想を1,420→1,360億円に下方修正したが、営業利益170億円・純利益117億円・配当38円は据え置いた。

目次

事業概要・セグメント

セグメント 主な事業 FY3/26売上(前年比) 1Q FY3/27売上(前年比) 1Q営業利益(前年比、試算)
業務&ソリューション 金融・公共・法人向け業務システム 528(△0.7%) 130(△2.9%) 17.8(+4.1%)
テクノロジー&ソリューション ERP・組込み・製品系 460(+7.3%) 110(△1.7%) 9.6(△22.2%)
プラットフォーム&サービス ITインフラ構築・運用 364(+22.1%) 70(△15.6%) 5.9(△27.1%)

出典:FY3/26決算短信、1Q FY3/27決算短信。

主要指標

項目 値 出典・注記
FY3/26 実績 売上 1,352億円(+7.4%)/営業利益 164億円/純利益 116億円、EPS 72.9円(分割後)、配当37円 決算短信
FY3/27 会社予想(11/2修正) 売上 1,360億円(1,420から△4.2%)/営業利益 170億円・経常 173.5億円・純利益 117億円(いずれも据え置き)、EPS 75.04円、配当38円(据え置き)。期初時点で日経は純利益予想が市場予想平均を下回ると報道 業績予想の修正・日経
上期実績(FY3/27) 売上645億円(△3.7%)/営業利益80億円(△1.3%)/純利益54億円(△0.5%)、通期営業利益予想に対する進捗47%(試算) 2Q短信
株価(2026/10/30終値) 1,183円。1カ月 +4.9%、3カ月 +2.2%、1年 △5.3%、52週レンジ 958–1,304円(試算、分割調整後) Yahoo Finance(sources/yf_9682.T.json)
時価総額 1,883億円 株探
PER(会社予想)/PBR/配当利回り 15.6倍/3.06倍/3.21% 株探
EV/EBITDA 未算出(未確認事項参照) —
次回決算 3Q(2027年2月上旬見込み、日付未確認) —

投資論点・主要な争点

  • メガバンク特需の反動:FY3/26まで業績を押し上げた金融大型案件がピークアウト。生保・公共案件などでどこまで穴を埋められるか。
  • 受注の鈍化:1Q受注高△4.1%、受注残△0.6%。FY3/26末の受注残も△3.9%で、売上の先行指標は弱い。
  • 新領域:理化学研究所の量子HPC連携プラットフォームなど、AI・計算基盤構築の受注(会社のスポンサードレポート)。規模はまだ小さい。
  • 株主構成と還元:AVIの買い増し、三井住友信託・みずほ銀行の5%超保有、自己株4,805,900株(2.93%)の消却(9/30)。配当利回り3.2%、資本効率改善の圧力が下支え。

最新の見立て

2Qは大型プロダクト案件の失注で通期売上予想を1,360億円に下げたが、営業利益170億円は据え置いた。11/2の2Qで、(1) 減収幅は1Qの△5.7%から上期△3.7%に縮小(2Q単独は△1.7%、試算)、(2) 上期受注高は△1.5%とまだマイナスだが受注残は+2.0%とプラスに転じ、(3) 通期は売上を60億円下方修正する一方で営業利益170億円は据え置いた。失注した大型プロダクト案件は低採算で利益影響は軽微と会社は説明しており、SIの採算改善で利益を守る構図。売上の下方修正は見出しとしては弱く、短期的な株価には逆風になりやすいが、利益の質は1Q時点より良くなっている(筆者分析)。

イベント(過去12カ月)

日付 イベント インプリケーション(筆者分析) 株価反応(翌営業日、試算)
2025/11/5 FY3/26 2Q決算 — △9.68%(対TOPIX △11.02pt)
2026/2/6 3Q決算 メガバンク反動を他領域でカバー △2.05%(対TOPIX △4.31pt)
2026/5/1 FY3/26決算・FY3/27予想(純利益+0.5%、市場予想を下回る=日経) 受注残減少と低成長の計画 △5.03%(対TOPIX △8.22pt)
2026/7/31 1Q決算(営業益△11.1%) 反動減が鮮明に △6.74%(対TOPIX △5.44pt)
2026/8/10 AVIの大量保有報告(買い増し) アクティビストの圧力 未計測
2026/9/2 格付けの引き下げ(報道) — 9/2→9/3 △1.84%(対TOPIX △2.48pt)
2026/9/24 自己株4,805,900株(2.93%)の消却を決議(9/30消却) 還元姿勢 9/24→9/25 +0.96%(対TOPIX △0.33pt)
2026/10/6 AVIの変更報告(買い増し) — 未計測
2026/11/2 2Q決算。通期売上予想を1,420→1,360億円に下方修正(大型プロダクト案件の失注・消滅)、営業利益170億円は据え置き 減収でも利益を守れる採算改善を示した。売上の下方修正は短期の逆風(筆者分析) 11/4終値で計測予定(11/3は祝日)

四半期決算(新しい順)

2027年3月期 2Q(7–9月)・上期

発表:2026/11/2 15:30(大引け後)。同時に業績予想の修正を開示

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 上期実績 前年同期 前年比 2Q単独(試算)
売上高 644.5 669.3 △3.7% 334(前年340、△1.7%)
営業利益 79.8 80.8 △1.3% 46.5(前年43.3、+7.4%)
営業利益率 12.4%(試算) 12.1%(試算) +0.3pt(試算) —
純利益 54.4 54.7 △0.5% —

2Q単独は上期から1Q(売上310・営業利益33.3)を差し引いた筆者試算。売上総利益は151億円(+2.1%)と案件採算の改善で増益、販管費は71億円(+6.2%)。セグメント売上:業務&ソリューション266.8(△0.0%、生保・福祉関連が金融大型案件の反動を補う)、テクノロジー&ソリューション223.7(△1.8%、ServiceNow・データ活用は拡大も組込み・ERP刷新等の大型案件がピークアウト)、プラットフォーム&サービス154.1(△11.8%)。フォーカスビジネス比率64.0%(中計目標57%)。

受注・受注残

セグメント 上期受注高 前年比 受注残高 前年比
業務&ソリューション 265 +1.8% 154 +3.0%
テクノロジー&ソリューション 242 +1.9% 150 +11.4%
プラットフォーム&サービス 159 △10.9% 98 △11.1%
合計 667 △1.5% 401 +2.0%

業績予想の変更

通期 売上1,420→1,360億円(△4.2%、前期比+0.6%)。営業利益170億円・経常173.5億円・純利益117億円は据え置き(EPSは自社株買い反映で75.04円)。理由は複数の大型プロダクト案件の失注・消滅。利益影響は軽微で、SI事業の生産性向上による採算改善で吸収(業績予想の修正)。配当は中間15円・期末23円(年38円)で据え置き。

説明会・開示の主なポイント

  • 2026年5〜9月に約50億円の自社株買いを実施し、取得分は全株消却(短信)
  • 九州DTSがシステムトレンドを全株取得、DTSインサイトが富士通からソースコード解析ツール「Agile+Relief」の資産を取得
  • JPX日経インデックス400に選定(2026年8月)
  • 説明会(機関投資家・アナリスト向け)のQ&Aは未取得

インプリケーション(筆者分析)

1Qで懸念された「下期に増収へ戻る根拠」は、受注残+2.0%(テクノロジー&ソリューション+11.4%)でやや改善した。一方でプロダクト販売の失注で売上計画を下げており、トップラインの成長ストーリーはさらに後退。利益は採算改善で守れているため、焦点は「低成長・高採算・高還元」の銘柄として評価されるかどうか。AVIの関与もあり、追加の還元策が株価の支えになりうる(筆者分析)。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,183円(10/30)
発表日終値 1,134円(11/2)
翌営業日終値(11/4) 未確定
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) —
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) —
対TOPIX相対(試算) —

11/3は祝日のため翌営業日は11/4。次回更新で追記。発表日(11/2)の終値は前日比△4.1%(試算)だが、発表は大引け後で決算への反応ではない。

2027年3月期 1Q(4–6月)

発表:2026/7/31 15:30(大引け後)

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 1Q実績 前年同期 前年比
売上高 310 329 △5.7%
営業利益 33.3 37.5 △11.1%
営業利益率 10.7% 11.4% △0.7pt(試算)
純利益 23.1 27.0 △14.4%

業務&ソリューションは生保・公共案件が伸びたが、前年の金融大型案件の反動で減収。全体では前年の金融・基幹システム刷新・ERP刷新・ライフサイクル管理などの大型案件のピークアウト。研究開発費増で販管費が増加。四半期計画は非開示。

受注・受注残

セグメント 受注高 前年比 受注残高 前年比
業務&ソリューション 121 △2.7% 146 +0.8%
テクノロジー&ソリューション 124 △10.6% 144 △5.0%
プラットフォーム&サービス 80 +5.5% 102 +4.0%
合計 324 △4.1% 393 △0.6%

業績予想の変更

通期予想(売上1,420/営業利益170億円)は据え置き。

説明会・開示の主なポイント

  • 中計の3本柱は着実に進むが、前年の大型案件の反動が大きい(短信)
  • AML/CFT製品など金融向けソリューションの拡販

インプリケーション(筆者分析)

受注残がほぼ横ばいで、下期に増収へ戻る根拠は弱い。通期計画の達成には2Q以降の挽回が必要で、11/2の決算で修正リスクを確認したい。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,174円(7/30)
発表日終値 1,158円(7/31)
翌営業日終値(8/3) 1,080円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △6.74%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) △1.29%
対TOPIX相対(試算) △5.44pt

2026年3月期 4Q(1–3月)・通期

発表:2026/5/1

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 4Q実績 通期実績 通期前年比
売上高 369 1,352 +7.4%
営業利益 41 164 +13.4%

通期は過去最高(通期営業利益164.34億円、前期144.89億円:決算短信)。セグメント売上:業務&ソリューション528(△0.7%)、テクノロジー&ソリューション460(+7.3%)、プラットフォーム&サービス364(+22.1%)。4Qの前年比と営業利益の通期前年比は未計算(未確認)。

受注・受注残

通期受注高1,341億円(+1.3%)、期末受注残378億円(△3.9%)。プラットフォーム&サービスの受注残は△12.5%。

業績予想の変更

FY3/27予想:売上1,420億円・営業利益170億円・純利益117億円、配当38円。

説明会・開示の主なポイント

  • 中計のフォーカスビジネス比率は62.9%で、2028年目標57%を前倒しで達成(会社資料)
  • 大きな影響を与えるおそれのある不採算案件はなし(短信)

インプリケーション(筆者分析)

計画は小幅増益にとどまり、受注残の減少もあって成長期待が後退した。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,020円(4/30)
発表日終値 1,014円(5/1)
翌営業日終値(5/7) 963円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △5.03%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +3.19%
対TOPIX相対(試算) △8.22pt

5/4–5/6は休場。

2026年3月期 3Q(10–12月)

発表:2026/2/6

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 3Q実績 9M累計(試算)
売上高 314 983
営業利益 42 123

9M累計は会社開示の四半期値(1Q 329・2Q 340・3Q 314億円、営業利益37.5・43.3・42.4億円)の合計による試算。3Q売上の前年比は+0.8%(会社資料の四半期推移)、営業利益の前年比は未取得(未確認)。会社のスポンサードレポートは、メガバンク特需の反動を住宅関連ソリューションなどEAS(業務アプリ)で補ったと説明(DTSレポート)。

受注・受注残

未取得(未確認)。

業績予想の変更

通期予想は据え置き(未確認)。

説明会・開示の主なポイント

  • 理化学研究所の量子HPC連携プラットフォームを受注
  • 利益の伸びが鈍った一因は低採算のプロダクト販売

インプリケーション(筆者分析)

反動を他領域で補えることは示したが、株価は対TOPIXで下落した。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,200円(2/5)
発表日終値 1,173円(2/6)
翌営業日終値(2/9) 1,149円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △2.05%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +2.27%
対TOPIX相対(試算) △4.31pt

2026年3月期 2Q(7–9月)

発表:2025/11/5

売上・営業利益・セグメント(前年比・計画比)

項目 2Q実績 上期累計
売上高 340 669
営業利益 43 81

上期累計は会社資料(上期売上66,926百万円、営業利益は1Q 3,750+2Q 4,332百万円=約8,082百万円:DTS IR資料の四半期推移)。2Q売上の前年比は+9.9%(会社資料)。2Q営業利益の前年比、セグメント、上期の計画比は未取得(未確認)。

受注・受注残

未取得(未確認)。

業績予想の変更

未確認。

説明会・開示の主なポイント

  • 詳細は未取得(未確認)

インプリケーション(筆者分析)

株価は翌日△9.7%と大きく下げた。要因の特定には説明会資料の確認が必要(未確認)。

株価反応(試算)

項目 値
発表前日終値 1,300円(11/4)
発表日終値 1,271円(11/5)
翌営業日終値(11/6) 1,148円
騰落率(発表日終値→翌営業日終値、試算) △9.68%
同期間 TOPIX連動ETF(1306)(試算) +1.34%
対TOPIX相対(試算) △11.02pt

株価データ:Yahoo Finance チャートAPI(9682.T/1306.T)の日次終値(分割調整後)を筆者がダウンロードし試算(sources/yf_9682.T.json, sources/yf_1306.T.json)。TOPIXは指数の日次データを取得できなかったため、TOPIX連動ETF(1306.T)の騰落率で代替(試算・近似)。決算発表が大引け後の場合、初期反応は「発表日終値→翌営業日終値」で計測。

未確認事項

  • EV/EBITDA未算出
  • 株式分割の比率と効力発生日(Yahooの株価は分割調整後。BPSは1,440→398円)
  • 2Q FY3/26・3Q FY3/26の前年比、セグメント、受注
  • FY3/26の営業利益の前年比
  • 9/2の格付け引き下げの格付け会社と内容
  • AVIの保有比率
  • 2Q FY3/27の株価反応(11/4終値で計測予定)
  • 2Q FY3/27 説明会のQ&A

出典

最終更新日:2026/11/02